山雨来たらんと欲して風楼に満つ
ラハイロイでの一件がひと段落した頃、瑝瓏から荷物が届いた……
ブブ物流からの荷物を受け取る
ブブ物流の配達員: はぁっ、はぁっ……漂泊者さん!瑝瓏からの荷物をお届けに来ました!
漂泊者:
アブ: ん、瑝瓏から?なんだなんだ、美味いもんでも入ってるのか?
漂泊者: いや、秧秧からの手紙だ。
アブ: おお、秧秧からか!確かに、そろそろ連絡が来ると思ってたぞ。
漂泊者: アブのために、お菓子の詰め合わせも入ってるぞ。
アブ: おおっ!秧秧は最高だな、嬉しいぞ!
漂泊者:
アブ: コホン……も、もちろんだぞ!我は分け合うことの大切さを、誰よりも分かってるからな!……それで、秧秧の手紙にはなんて書いてあったんだ?
漂泊者:
アブ: うーん……まさか、またあの無相燹主が暴れてるのか?いや、さすがにそれはないか。
アブ: って!?秧秧にお姉ちゃんがいたのか!?どんな人なんだ……我、すごく気になるぞ!
漂泊者: 返事を書く時に聞いてみるか。
漂泊者: (どこか返事を書ける場所を探そう)
秧秧に返信する
漂泊者: (秧秧が見たという、あの夢のこと……)
漂泊者: (あの日、あなたに呼び覚まされてから、俺もたくさんの夢を見てきた。いい夢も、悪い夢も……目覚めた瞬間に風のように消えるものもあれば、心に深く刻まれて離れないものもある)
漂泊者: (けれど、それらはあくまで夢であり、現実ではない。今の俺たちが響かせていない、ただの名残りのようなもの)
漂泊者: (あの雲陵谷の出会いだけは違う。どんなに多くの夢を見ようとも、決して消え去ることのない……俺たちだけの、確かな現実なんだ)
漂泊者: (あなたが最初につけてくれた名前の通り、俺はこれからも漂泊を続ける運命で、この先の旅も未知に溢れているはず)
漂泊者: (でも、それは同時に……)
秧秧(ヤンヤン): でも、それは同時に……
秧秧(ヤンヤン): 無数に広がる明日の中で、私たちの軌跡が……
秧秧(ヤンヤン): 「いずれまた交差する可能性がある……」
熾霞(シカ): おーい!秧秧、そろそろ出発するよー!
秧秧(ヤンヤン): はい、今行きます!
熾霞(シカ): えーっと、どれどれ……この先の検問所を抜けたら、もう「玄方地界」だね。手がかりをたどって、まさかこんな遠くまで来るとは思わなかったよ。
秧秧(ヤンヤン): 行方不明になった方々は……皆さん、ここにたどり着いたのですね。
熾霞(シカ): それもこれも、秧秧の流れ息のおかげだよ!細かい手がかりを繋ぎ合わせてくれなかったら、今州中をどれだけ駆けずり回る羽目になってたか!
秧秧(ヤンヤン): 大げさですよ、熾霞……巡尉たちの調査では、彼らはそれぞれ事情があり「夢州」へ向かおうとして、この玄方地界を通ることになったようです。
秧秧(ヤンヤン): ですが結果として、誰も夢州にはたどり着いていませんし、戻ってきた人もいません。私の記憶が確かなら、玄方地界は――
熾霞(シカ): まあ、行ってみれば分かるって!上には調査令の申請を出してあるから、検問所で書類を見せれば中に入れてくれるはずだよ。
熾霞(シカ): ふぅ……こんな遠征任務は初めてだね。とにかく、行方不明の人たちを無事に連れ帰らないと。そうでしょ、秧秧?
秧秧(ヤンヤン): ええ、行きましょう。
このまま進む
熾霞(シカ): そういえば、さっき一人で何を見てたの?ずーっとニコニコしてたけど……あんな顔、珍しいなって思ってさ。
秧秧(ヤンヤン): えっ?私、普段はそんなに怖い顔をしているのでしょうか?
熾霞(シカ): 違う違う、見る人が見れば分かるんだって。笑い方にも色々あるでしょ?いつもの「よそ行き」の笑顔と、心からの笑顔は絶対に違うもん。秧秧が思わず顔をほころばせちゃうようなものって、えーっと……
秧秧(ヤンヤン): ……コホン。今は任務に集中しましょう、熾霞。
熾霞(シカ): 変だね……誰もいないよ。いつもなら守衛さんが見張ってるはずなのに。
秧秧(ヤンヤン): ……気を引き締めましょう、熾霞。
玄方界門に近い検問所へ向かう
秧秧(ヤンヤン): 熾霞、来ます!武器を構えて……!
熾霞(シカ): 秧秧?何か感じたの!?
秧秧(ヤンヤン): 残像です……一体、二体……いえ、次から次へと溢れ出してきます……!
熾霞(シカ): そんな!だって、ここは――
秧秧(ヤンヤン): ……迎え撃つ準備を。
残像を倒す
熾霞(シカ): 玄方城の守備軍はどこ!?まさか、みんな残像に……
秧秧(ヤンヤン): 分かりません……ですが、この残像たちは、明らかにおかしいです……
秧秧(ヤンヤン): 自然発生の残像が、これほど統率された動きを見せるなんて……
熾霞(シカ): もし外から来た群れじゃないなら、まさか街の中から――
秧秧(ヤンヤン): ……っ。
熾霞(シカ): くっ 油断した……!
秧秧(ヤンヤン): 熾霞――! 怪我はっ!?
熾霞(シカ): 平気だよ これくらいの傷…… まだやれる――!
秧秧(ヤンヤン): 熾霞……
熾霞(シカ): 秧秧?
秧秧(ヤンヤン): どちらか一人でも戻って――
秧秧(ヤンヤン): 今州に この事態を伝えないと
熾霞(シカ): 秧秧ッ!
熾霞(シカ): 秧秧? 秧秧―― ちょっと 何するつもり!?
熾霞(シカ): 秧秧…… ッ!
今州に戻る
アブ: うぅ……お腹も心も、なんだかスカスカだぞ……
アブ: 龍髭パイに潮パイ、忍冬餅……あぁ、思い出しただけでよだれが出てくる。リナシータやラハイロイの甘いものも悪くないけど、やっぱり我の胃袋には瑝瓏のお菓子が一番合うな!
アブ: そう考えると、サクサクの乳鳩揚げや今州シチュー、小龍包に鶏のソース煮込み、砂糖がけ菱実、それと月団子も……もうずーっと食べてないぞ!
漂泊者:
アブ: 仕方ないだろ!秧秧が送ってくれたお菓子があまりにも美味しかったから、今州の素敵な思い出が全部蘇ってきたんだ!
漂泊者: 確かに……今州にはもう随分と帰ってないな。
漂泊者: (秧秧から返事は来てないけど、彼女や熾霞、白芷……それに今汐たちはどうしてるんだろう)
漂泊者: 学園の用事も一段落したし、そろそろ……
漂泊者: (それに、前に衛星で見つけたアレは……おそらく稷廷の遺物のはずだ。放置はできないな)
アブ: お前の言いたいことは分かってるぞ、出発だ!今州のみんなを、あっと驚かせてやるしかない!
漂泊者:
アブ: 魚の唐揚げ甘酢あんかけに、星ナゲット、今州ごった煮にラー油ちぎり鶏……たーっくさん食べるぞ!へへっ、へへへっ……
漂泊者: (完全に妄想の世界に入り込んでるな……)
漂泊者: (まあ、それでもいいか)
漂泊者: (学園のみんなに挨拶したら、一度今州へ帰ろう)
図書館を出る
リューク・ヘルセン: ああ、漂泊者。ちょうどいいところに来たね。キミが来なかったら、こちらから探しに行こうと話していたところだよ。
漂泊者: みんな、どうしてここに……?
緋雪(ひゆき): ただの別れの挨拶だ。
モーニエ: 先輩、私……
モーニエ: ……この先、どんな困難があっても、スタートーチ学園は常に先輩の味方です。私も……皆さんも、ずっとここで先輩の帰りを待っています。
モーニエ: ですから、安心して旅に出てください。
緋雪(ひゆき): 瑝瓏か……同行できぬのは惜しいな。またの機会に訪れるとしよう。
緋雪(ひゆき): 何か入り用とあらば、いつでも連絡せよ。
リューク・ヘルセン: 瑝瓏から戻ったら、また向こうの土産話を聞かせてもらおうかな。
リューク・ヘルセン: 道中、気をつけるんだ。暇な時はメッセージを送ってくるように。
漂泊者: ありがとう……それじゃあ、行ってくるよ。
緋雪(ひゆき): そういえば、ルシラーが何か「特別」な手配をしておるようだ。楽しみにしておるとよい。
スタートーチ学園の仲間たちに別れを告げる
再開する
今州の友人たちに会いに行く
今州の仲間たちに会う
アブ: うーん、今州は相変わらずだな。懐かしい匂いがするぞ……
漂泊者: だけど……空気が重いな。秧秧の手紙に書いてあったことと関係してるのか……?
アブ: そうだな……なんでみんな、あんなに暗い顔してるんだ?こんなにいい天気なのに。
漂泊者: とにかく、まずは秧秧たちを探そう……
折枝(オリエ): 漂泊者さん……?帰ってきてたんですか?
漂泊者:
折枝(オリエ): 良かった……漂泊者さんがいれば、きっと事件も解決します。秧秧さんと熾霞さんのことを聞いて、戻ってきてくれたんですね!
漂泊者:
折枝(オリエ): えっ、聞いてないんですか?熾霞さんは意識を失っていて、秧秧さんは行方不明で……
漂泊者: ……折枝、悪いが詳しく教えてくれないか?
折枝(オリエ): は、はい。私も最近知ったばかりですが……締め切りを過ぎても、絵の催促に来ない依頼人がいて……
折枝(オリエ): 聞いて回ったら、その人だけじゃなくて、何人もの人が行方不明になっていることが分かって……
折枝(オリエ): 熾霞さんと秧秧さんが、その事件を調べていたんです。でも2日前に町を出てから……熾霞さんだけが重傷の状態で夜帰の人たちに運び込まれて、秧秧さんは……帰ってきませんでした。
折枝(オリエ): 私が知っているのはこれだけです……!巡寧所にも聞きに行ったんですが、何も教えてもらえなくて……
アブ: さ、最悪な状況を考えなくてもいいと思うぞ……
アブ: 秧秧は……き、きっと無事だ。
漂泊者: 大丈夫だ。ありがとう、折枝。充分助かったよ。
漂泊者: あとは……俺に任せてくれ。それじゃ、行くよ。
折枝(オリエ): 漂泊者さん、どうか必ず……
アブ: 漂泊者、我たちはこれから……
漂泊者: ……まずは今汐のところへ行こう。
漂泊者: ……
辺庭に向かう
このまま進む
辺庭に向かう
???: 散華護衛、もう4時間も座ってるけど、そろそろ令尹様のところへ案内してもらえないかしら?
散華(サンカ): 先ほども申し上げた通り、令尹様は現在辺庭におりません……どうかご容赦ください。
???: そう。じゃあ、令尹様の居場所を教えてちょうだい。自分で探しに行くわ。
散華(サンカ): それは……お教えしかねます。
漂泊者: 久しぶりだな、散華。
散華(サンカ): 漂泊者様!?いつお戻りに……?
???: (この人は……)
漂泊者: 散華、今汐のところへ案内してくれないか?
???: 待ってちょうだい、何事にも順番があるでしょう。それに、これは私の妹に関わることなのよ――
漂泊者: 悪いが、俺も大切な仲間のために――
???&漂泊者: 秧秧の状況を早く知りたいんだ――/秧秧の状況を早く知りたいの――
???: ――いったい、どうして……えっ?
漂泊者: まさか……あなたが……?
今汐(コンシ): ……散華の行動は、どうかご理解ください。余は確かに、彼女に行き先を伝えておりませんでしたから。
漂泊者:
今汐(コンシ): 問題ありません、ただの擦り傷です。今回の収穫に比べれば、「あの方」からの些細な悪戯のようなものですから。
今汐(コンシ): 遠路はるばるようこそ、穂穂さん。初めての今州で、このような事態に巻き込んでしまい申し訳ありません。
穂穂(スイスイ): ……散華護衛の言葉が本当なら、さっきの無礼は詫びるわ。でも、私は妹に会いに来たのに、その妹が行方不明だって聞かされたの。この気持ちを分かってちょうだい。
今汐(コンシ): はい、事態が急を要することは承知しています。漂泊者もいることですし、一緒にご説明しましょう。
今汐(コンシ): 近頃、今州で複数の者が音信不通になる事件が起きており、すべての手がかりが玄方地界を指していました。調査に向かった秧秧と熾霞ですが、熾霞は重傷で帰還し、秧秧は消息を絶っています。
今汐(コンシ): ただちに別の経路から夢州の辺庭へ使者を派遣しましたが、返答はありません。夜帰の精鋭にもう一度玄方城を偵察させようとしましたが、城門が固く閉ざされ、外部から城内の様子は窺えない状況です。
穂穂(スイスイ): よりによって、玄方城だなんて……
漂泊者: でも、今汐なら打つ手があるはずだ。
今汐(コンシ): ええ……余は令尹であると同時に、歳主「角」の共鳴者でもありますから。
今汐(コンシ): 玄方城を建てたのは他でもない、夢州の歳主・心月狐――「心」です。隣り合う夢州と今州、二つの州の歳主の間にはいくつかの約定が交わされています。その一つが、玄方城に関するものです。
今汐(コンシ): もし玄方城に緊急事態が起きた場合、両歳主の共鳴者は約定の地へ赴き、歳主が残した「印」を手にすることができます。
今汐(コンシ): その過程は……大したことではありません。とにかく、済んだことです。余が手に入れたものを簡潔に言えば、「合い鍵」のようなものになります。
穂穂(スイスイ): ……どう見ても、楽な道のりじゃなかったようね。
今汐(コンシ): 何しろ「緊急事態」にしか使えないものですから。もっとも、何をもって緊急事態とするかは、余の裁量に委ねられていますが。
今汐(コンシ): 歳主と浅からぬ縁を持つ漂泊者なら、「角」の残したものを自由に使えるはずです。
今汐(コンシ): 漂泊者、事は急を要します。すぐに出発しましょう。穂穂さんは……もうしばらく、お待ちいただければと……
今汐(コンシ): 玄方地界は夢州の管轄であり、玄方城はその要衝です。通常、隣州の我々が内政に干渉することは許されませんから……
今汐(コンシ): 部下を派遣するわけにはいきません。しかし、「角」の共鳴者として余個人の身分で向かうことは可能です。
漂泊者:
漂泊者:
今汐(コンシ): ですが……
漂泊者: これが最善の判断だ、信じてくれ。
穂穂(スイスイ): 私も同感よ。この件が想像以上に多くの人を巻き込んでるなら、今州には令尹が残って指揮を執るべきだわ。
穂穂(スイスイ): それに、私が大人しく待ってるだけだとは思わないでしょ?
今汐(コンシ): ……分かりました、そこまで仰るなら。漂泊者、そして穂穂さん。令尹として約束します。お二人の玄方城での行動は、余が責任を負いましょう。
今汐(コンシ): どうか秧秧を……今州の民を、無事に連れ帰ってください。
今汐(コンシ): 漂泊者、熾霞は現在、華胥研究院で療養しています。出発前に、彼女の様子を見てきてあげてください。玄方城の情報が必要なら、相里首席や白芷に尋ねるとよいでしょう。
今汐(コンシ): 穂穂さんはどうするつもりですか……?
穂穂(スイスイ): 少し時間をもらえるかしら?令尹様に、いくつか聞きたいことがあるの。
今汐(コンシ): もちろんです、余に答えられることであれば。
穂穂(スイスイ): 漂泊者、華胥研究院の前で合流しましょう。
散華(サンカ): ……漂泊者様、どうかお願いいたします。
華胥研究院に向かい、熾霞の状況を確認する
白芷(ビャクシ): 漂泊者、来てくれたのね。
漂泊者: 白芷、熾霞は……
白芷(ビャクシ): まだ治療中よ。
熾霞(シカ): 秧秧……
漂泊者: ……安心してくれ、熾霞。秧秧は必ず連れて帰る。
白芷(ビャクシ): 外に出ましょう、彼女にはしばらく安静が必要だわ。
白芷(ビャクシ): さっき折枝が熾霞のお見舞いに来て、あなたのことも教えてくれたわ。その様子だと、もう令尹様には会ったみたいね。
白芷(ビャクシ): 彼女を連れ帰った夜帰の話では、熾霞は重傷のまま夢窟を抜けて、秧秧のことを伝え終わるまで気を張り続けていたそうよ。それから倒れた、と。
漂泊者: 熾霞……
白芷(ビャクシ): 心配しないで。命に別状はない。昨日の深夜に意識は戻ったわ。ただ、まだはっきりしない状態のはずよ……
白芷(ビャクシ): ごめんなさい、漂泊者……私も、すぐに秧秧を探しに行きたかった。でも、熾霞があんな状態になった以上、ここを離れるわけには……
漂泊者:
相里要(ソウリヨウ): その通りだ、白芷研究員。君がいなければ、熾霞の容体がこれほど早く安定することはなかった。後遺症が残っていた可能性もある。
相里要(ソウリヨウ): 漂泊者、散華護衛から聞いたよ。これから玄方城へ向かうんだね。
白芷(ビャクシ): どうか気をつけて、漂泊者。玄方城はただの軍事要塞じゃない。現代……いえ、私たちが見据える未来においても、「機巧術」の最高傑作と呼べる存在。
漂泊者:
相里要(ソウリヨウ): ああ、夢州の歳主・心月狐が直々に手がけた傑作だからね。残像を包囲、殲滅して、夢州を守るために建造された、機巧の城なんだ。
相里要(ソウリヨウ): 玄方城が二つの州の境界にそびえ立って200年以上、一度も問題は起きていない。あれは自律思考が可能な「生きた」城でね。人の力に頼らず、「機傀」と呼ばれる造物を使って残像と戦っているんだ。
相里要(ソウリヨウ): 理論上、玄方城が陥落しない限り、夢州の安全は保たれる。だからこそ――もしあそこで何らかの事態が起きたとすれば、その影響は計り知れない。
白芷(ビャクシ): 熾霞の話では、秧秧が残像に包囲された時、「山門」と呼ばれる玄方城の城門が開いたらしいわ。秧秧は熾霞を逃がすために、一人でその門をくぐったそうよ。
白芷(ビャクシ): つまり……秧秧は今も玄方城にいるはず。
相里要(ソウリヨウ): 僕も研究院に入ってから、玄方城関連の技術を研究させてほしいと夢州に何度か申請したんだけど、すべて却下されてしまってね。これ以上の内部事情は分からない。力になれそうもなくて申し訳ない。
相里要(ソウリヨウ): だけど……アーカイブを調べていた時に、玄方城に関する報告書を見つけたことがあるんだ。
相里要(ソウリヨウ): 内容はあまりにも曖昧だったけど、一つだけ手がかりになりそうな記述があった。役に立つかはさておき。
相里要(ソウリヨウ): 200数年前、玄方城が建造された当初のことだ。心月狐をはじめとする夢州の勢力のほかにも、玄方城に足跡を残した集団がいた。
漂泊者:
相里要(ソウリヨウ): 稷廷だ。
相里要(ソウリヨウ): 玄方城の歴史は古く、関わる事柄も多い。一つひとつ説明してたら、手遅れになりかねない。
漂泊者:
相里要(ソウリヨウ): 熾霞のことは僕たちに任せてほしい。研究院でしっかり看ておくから。
華胥研究院を出る
穂穂と会話する
穂穂(スイスイ): もう……騒がないの、水餃子。
漂泊者: 水餃子……?
穂穂(スイスイ): あら……来たのね、気にしないで。この気の利かない鳥、もう何年も飼ってるんだけど、水餃子って名前なのよ。
穂穂(スイスイ): この子……少し機嫌が悪いの。たぶん、秧秧に会えなかったから。
穂穂(スイスイ): 実家にいた頃、この子は秧秧とすごく仲がよくてね。ある時なんて、秧秧が――
穂穂(スイスイ): ……ごめんなさい。今こんな話をするのは、少し場違いだったわ。
漂泊者: さっき、何を考えていたんだ?
穂穂(スイスイ): 別に……ただ少し、昔のことをね。
穂穂(スイスイ): 秧秧が私と母さんに、家を出て今州へ行くと言った日のこと……私はあの子に、「進みたい道を見つけたなら、周りは気にせず、前を向いて歩きなさい」って言ったの。
穂穂(スイスイ): でも、本心から言ったわけじゃないわ。
漂泊者:
穂穂(スイスイ): 今州に来る前、私は少し心配だったの。長い間会ってなかったから、昔と同じ関係でいられるか分からなくて。でも、まさか……
漂泊者: 秧秧も、俺に似たようなことを言ってたよ。
穂穂(スイスイ): えっ、秧秧が……?
漂泊者: よく似てる姉妹だな。
穂穂(スイスイ): ……そう?似てるような……似てないような。
漂泊者: 俺の知る秧秧は、とても芯の強い人だ。決して弱音を吐かず、自分の選択を疑ったこともない。
穂穂(スイスイ): その口ぶり……秧秧のことをよく知ってるみたいね?
漂泊者: 俺の旅は、秧秧に出会ったところから始まったんだ。
漂泊者: あの時からどれだけ進もうと、ほかの地域へ足を踏み入れようと、彼女との出会いが旅の原点であることに変わりはない。
漂泊者: だから、彼女を大切に思うみんなのためにも、俺自身のためにも、必ず連れ帰る。
穂穂(スイスイ): ……それじゃあ、行きましょう。
穂穂(スイスイ): 今州から玄方地界へ行くには、雲陵谷の北にある夢窟を抜けなきゃいけないの。あなたは行ったことがないでしょうし、私が案内するわ。
夢窟に向かう
このまま進む
漂泊者: そういえば、今汐と何を話していたんだ?
穂穂(スイスイ): 必要な情報交換よ。かなり粘って、ようやく私にも権限を分けてもらったの。
穂穂(スイスイ): それと、あなたのことも聞いたわ。
漂泊者: 俺のこと?
穂穂(スイスイ): 目的が同じでも、同行する相手が信頼できるかどうか、知っておきたいでしょ?
穂穂(スイスイ): それに、秧秧が手紙でよくあなたの名前を出してたから。妹がそこまで気にかけている人がどんな人なのか、気になったのよ。
漂泊者: それで、答えは出たのか?
穂穂(スイスイ): ……それは、これからのあなた次第ね。
漂泊者: 行こう。
漂泊者: あれが、玄方城……
穂穂(スイスイ): ここから見る限り、確かに壮観ね。
玄方界門をくぐる
穂穂(スイスイ): ここまでは順調ね。
漂泊者: ああ……今のところ、相里要が話してた「機傀」にも遭遇してないな。
穂穂(スイスイ): とにかく、まずは井桟へ向かいましょう。ここからそう遠くないわ。あそこには玄方地界の外事府があるから、何か手がかりがあるはずよ。
漂泊者: この辺りに詳しいのか?
穂穂(スイスイ): ……ある程度はね。商売で何度か訪れたことはあるけど、詳しいって言えるほどじゃないわ。
穂穂(スイスイ): 普段の玄方城は警戒が厳重で、よそ者が入るには何重もの審査が必要なの。羽虫一匹すら入れないほどよ。
穂穂(スイスイ): もし今回の事変が天災じゃなくて人の仕業なら、それは……
漂泊者: ……慎重に進もう。
このまま進む
穂穂(スイスイ): ここにいた人たちは、どこに行ってしまったのかしら……
漂泊者:
穂穂(スイスイ): やっぱり……玄方地界に入った途端、通信が完全に途切れたみたい。
穂穂(スイスイ): これを渡しておくわ、漂泊者。
漂泊者:
穂穂(スイスイ): ペアの位置測定装置よ。持ってる人の現在地とバイタルサインを確認できるの。通信機能がないのが玉に瑕だけど。
穂穂(スイスイ): ここの様子、どうもおかしいわ。今は一緒に行動してるけど、この先も一緒にいられるとは限らない。保険に持っておいてちょうだい。
穂穂(スイスイ): いざという時、きっと役立つはずよ。
漂泊者:
穂穂(スイスイ): 商人の癖みたいなものよ。常に最悪の事態を想定して動くようにしているの。
穂穂(スイスイ): 何にせよ、最優先は秧秧を見つけること。お互い、余計な心配はしたくないでしょ?
穂穂(スイスイ): まあ、私からのプレゼントでもあるから、絶対に失くさないようにね?
漂泊者: (プレゼントにしては、少し重い気もするが……)
穂穂(スイスイ): 井桟の周りに手がかりが残っているかもしれないわ。調べてみましょう。
井桟付近で手がかりを探す
漂泊者: これが、玄方城の「機傀」か……
漂泊者: 構造はスタートーチ学園のバイポーラシリーズと大きく違うが、技術の粋では勝るとも劣らないな……
漂泊者: それに、この斬撃の跡……
穂穂(スイスイ): これは……?
穂穂(スイスイ): この筆跡、まさか……
漂泊者: 何か見つけたのか?
穂穂(スイスイ): 漂泊者、これを見て――
穂穂(スイスイ): 霧が……?
漂泊者: これは、ただの霧じゃないな……
穂穂(スイスイ): 機傀が待ち伏せを……!?
漂泊者: (これが熾霞の言ってた「異常な機傀」か……)
漂泊者: 油断するな、一緒に迎え撃とう。
戦闘エリアに着く
機傀を倒す
漂泊者: 霧がどんどん濃くなる……
漂泊者: この霧……っ!感覚を麻痺させる効果があるのか。
漂泊者: 穂穂、俺から離れるな。
漂泊者: 穂穂?そんな……!
敵を倒す
霧を抜ける道を探す
漂泊者: (ダメだ、まずは出口を見つけないと……)
漂泊者: これは……さっきのからくり鳥か?
漂泊者: 案内してくれるのか……?
漂泊者: 付いていってみよう。
梁鳶についていく
??: チッ、ここも息隠れの霧に……
??: 今州に通じる道まで塞がれた。守備軍だけでは……そう長く保たないだろう。
??: どうすれば……なぜ、こんな時に限って、歳主様は――
見知らぬ人と会話する
??: ――誰だ!?
漂泊者: 落ち着いてくれ、俺は敵じゃない。
??: その格好……ここの者ではないな。何者だ、なぜここにいる?
漂泊者: 今州から来た。人を探してるところだ。
??: 今州……?南の山門を越えて、玄方地界まで来たのか?まさか、今州はここの窮状を知って、援軍を送ってくれたのか!?
漂泊者:
??: その名前、どこかで聞いたことが……金色の瞳に黒い髪、そして音痕の位置……
??: まさか――あなたは北落野原の戦いで忌炎将軍と共に無相燹主を退けた……あの漂泊者か?
漂泊者: 今州の令尹に頼まれたのも、ここに来た理由の一つだ。今の状況を教えてくれないか?
椋羽(リョウウ): ……私は椋羽。夢州玄方城の 軍策府に直属する「後玄三騎」の一人だ。といっても、生き残っているのは私だけだが……
椋羽(リョウウ): ただの定例任務のはずだったが、あの日……
椋羽(リョウウ): 咎庭に足を踏み入れた途端、我々は機傀に襲われたんだ。
椋羽(リョウウ): 誰も予想できなかった。玄方城の人間……特に我ら定玄衛にとって、機傀は最も信頼すべき相棒。戦いの主力であり、歳主様とも縁の深い造物だ……
椋羽(リョウウ): 我に返った時には、すでに皆……三騎の他の二人は、武器を抜く暇さえなかった。
椋羽(リョウウ): 逃げ延びたのは、私と数人だけだ。それから……
漂泊者: 機傀が一斉に反乱を起こしたのか?
椋羽(リョウウ): ああ。暴走のせいで、残像を封じていた「咎庭」が機能しなくなった。そこから溢れ出した残像への対処に、軍策府は追われている……
椋羽(リョウウ): それだけじゃない。これほどの異常事態だというのに、定玄衛長が何度救援を求めても、辺庭からも歳主様からも何の返答もない……
椋羽(リョウウ): 今は領地から出る道がすべて「息隠れの霧」で断たれている。定玄衛は玄方城まで退いて死守するしかないが、それも一時しのぎに過ぎない……
漂泊者: (誰も城から出られないなら……秧秧はまだ城内にいるはずだ)
漂泊者: 俺以外に、今州から来た人を見なかったか?
椋羽(リョウウ): それは、まさか……
椋羽(リョウウ): 秧秧と名乗る少女がいた。今州夜帰軍の「踏白」だと言っていたな。2日前、民間人を避難させる際、しばらく我々と行動を共にしていた。
漂泊者: そう!彼女が今どこにいるか知らないか?
椋羽(リョウウ): いや、彼女は……民間人を城へ逃がすため自ら囮になり、大量の機傀を引きつけ、我々とはぐれてしまったんだ。
椋羽(リョウウ): 斥候を何人か出して捜索させたが、足取りは掴めなかった……
漂泊者: そうか、また手がかりが途絶えたな……
椋羽(リョウウ): ……何か、彼女に関する物は持っていないか?
漂泊者: (そういえば、さっき穂穂から手紙を預かったな)
椋羽(リョウウ): これは……
椋羽(リョウウ): デバイスを持っているな。少し待ってくれ、権限を共有しよう。
椋羽(リョウウ): 玄方城には残像を監視するため、各所に「霄巡りの環」が配置されている。これを使えば、残留した周波数の変化を追跡できるんだ。今は……まだ何とか動く。
椋羽(リョウウ): この手紙には、彼女の周波数が残っている。それを手がかりに、過去の足取りの一部をたどれるはずだ。「四鳴の井戸」へ案内しよう。あそこなら「霄巡りの環」にアクセスできる。
椋羽についていく
漂泊者: (位置測定装置の数値に異常はない。穂穂は無事のようだ……)
漂泊者: (なら彼女の言う通り、今は秧秧を見つけるのが最優先だ……)
漂泊者: 秧秧としばらく一緒にいたと言ったな?
椋羽(リョウウ): ああ、私も彼女の無事を心から願っている。
四鳴の井戸へ向かい、アクセス権限を取得する
椋羽(リョウウ): そうだ、ついでに「雲帛機騎」のアクセス権限も開放しておこう。
漂泊者:
椋羽(リョウウ): 夢州の華胥研究院が独自開発した乗り物で、複雑な地形でも素早く移動できるよう設計されている。
椋羽(リョウウ): えくすぺでぃしょん……?ほかの場所にも、似た技術があるのか?
椋羽(リョウウ): まあいいだろう……すでに移動手段を持っているなら、機能だけ共有しておこう。
秧秧が残した周波数を探す
秧秧が残した周波数の残影を調べる
秧秧の映像が投影されている……
何かと戦っていたようだ……
玄方地界に向かう
井桟に向かう
機傀を倒す
秧秧(ヤンヤン): お父さん、お母さん、姉さん……そして、漂泊者さん……
秧秧(ヤンヤン): この手紙を読んでほしいだなんて、贅沢は言いません。本当は、自分の口から直接伝えたいのです。
秧秧(ヤンヤン): 私がここでどんな経験をして、これからどんな道を歩むつもりなのか――
機傀の包囲から脱出する
機傀を倒す
秧秧(ヤンヤン): これだけ離れれば、もう大丈夫ですよね……
秧秧(ヤンヤン): これで、熾霞は安全なはず……
秧秧(ヤンヤン): くっ――!
??: 椋羽、ここの機傀……なんだか様子が……
??: 危ない――!ぐあっ……!!
??: どうなってるの!?なぜ機傀が――うっ!
??: 杜仲!?青枳!?
??: ……行け、ここは私がしんがりを務めよう。
??: 清宵司騎!あなたは――!
??: ……残りの者は必ず助け出す、案ずるな。
??: ですが……!
??: ……動ける者は私に続け!ここを突破するんだ!
??: 玄方城に、この知らせを届けなければ――!
秧秧(ヤンヤン): この声は……?
???: 梁鳶?なぜ、こんなところに……あっ、あれは――!
???: 椋羽騎使!あそこで誰かが機傀と交戦中です!
??: こんな時に、なぜ民間人が――!?
??: 総員、陣形を整えろ!機傀を村に近づけるな!
??: おい、しっかりするんだ!大丈夫か!?
秧秧(ヤンヤン): 私は……
部屋を出る
秧秧(ヤンヤン): あの……
??: 気がついたか。オーバークロック寸前で、何時間も意識を失っていたんだ。体の調子はどうだ?
秧秧(ヤンヤン): 私は大丈夫です……ただ、今の状況がまだ飲み込めなくて……
椋羽(リョウウ): 自己紹介しよう。私は椋羽、玄方城の軍策府に所属する「後玄騎使」だ。ここは銜翎村。 玄幽東岳のふもとにある小さな村だ。ここに住むのは、ほとんど玄方地界で生まれ育った者だ。
秧秧(ヤンヤン): 椋羽さん……後玄騎使……銜翎村……
椋羽(リョウウ): 次は私の番だ。あなたの身分、ここへ来た理由……それと、機傀と戦っていた経緯を教えてくれ。
秧秧(ヤンヤン): ……私は秧秧、今州夜帰の踏白です。今州で起きている行方不明事件の調査を今巡尉から依頼され、ここへ来ました。
秧秧(ヤンヤン): 仲間と手がかりを追って夢窟を抜けたところ、残像の群れに遭遇して……突然、山門が開いたんです。仲間を逃がすため、私は一人で城内に入りました。
秧秧(ヤンヤン): その後は……あなたたちも見ていた通りです。
椋羽(リョウウ): 今州の行方不明事件に、残像の出現……さらに、山門が勝手に開いただと……?
椋羽(リョウウ): 今州はまだこの事態を把握しておらず、夢州本府からも応答がない。どうなっているんだ……くそっ!
秧秧(ヤンヤン): 何が起きているのですか?私の知る限り……ここの機傀は残像と戦うための兵器のはず。なぜ突然、人を襲い始めたのでしょうか?
椋羽(リョウウ): 分からない……それは我々が一番知りたいことだ。
椋羽は秧秧に、これまでの経緯を手短に説明した。
秧秧(ヤンヤン): 機傀が反乱を……?
椋羽(リョウウ): ……誰も信じたくはないさ。機傀は、夢州の歳主様が作った造物。本来、罪のない民を傷つけるはずがない。
椋羽(リョウウ): だが、もし誰かが機傀を操って騒動を起こしたとしたら……歳主様の知能に侵入し、書き換えられるほどの技術を持つ者がいることになる……
秧秧(ヤンヤン): これが誰かの仕業なら、私の知る限り……
秧秧(ヤンヤン): ……残星組織の仕業でしょうか。
椋羽(リョウウ): 残星組織……あの悪名高いテロ組織か?どうだろうか……少なくともずっと、この辺りで奴らの影は見ていない。
椋羽(リョウウ): こんな時こそ、琢鈞堂が「舵主」を一人でも寄越してくれればいいんだが……いや、あいつらを当てにするだけ無駄か。
秧秧(ヤンヤン): 琢鈞堂……?それは、どのような組織なのですか?
椋羽(リョウウ): 夢州の機巧術組織だ。夢州の職人の半数近くが関わっていると言っても過言ではない。歳主の「心」様や「天工」を除けば、機巧術で右に出る者のない集団だ。
椋羽(リョウウ): だが、あそこは辺庭の管轄外にある。上層部は滅多に表に出てこない。その上、今は夢州本府との連絡も途絶えているからな……
椋羽(リョウウ): ……何にせよ、民の安全が最優先だ。
椋羽(リョウウ): すまないが、今州の行方不明事件については、こちらに何の報告も入っていない。今の状況では、そちらの調査に人手を割く余裕もなさそうだ。
秧秧(ヤンヤン): 謝らないでください。根拠はありませんが、今回の事件には……何か繋がりがあるように思えてならないんです。
秧秧(ヤンヤン): それに、戦友同士が助け合うのは当然ですから。私にできることがあれば、何でも仰ってください。
椋羽(リョウウ): ……感謝する。実を言うと、人手がまるで足りてなくてな。
椋羽(リョウウ): 先の戦闘で負傷者が何人も出て、まだ休息が必要な者が多いんだ。
椋羽(リョウウ): 斥候が安全なルートを見つけ次第、皆を護衛しながらここを発つ予定だ。
秧秧(ヤンヤン): それなら出発まで、皆さんの様子を見て回りますね。
椋羽(リョウウ): ……ああ、頼む。
村人たちの状況を確認する
秧秧(ヤンヤン): いつまた機傀が襲ってくるか分かりません……
秧秧(ヤンヤン): とにかく、皆さんの安全を確保しなくては。
秧秧(ヤンヤン): 詳しい状況は、定玄衛の方たちに聞いてみたほうが良さそうですね。
画玫(ガバイ): それじゃあ、仲は……
悲しみをこらえる定玄衛: 申し訳ありません……我々の力不足で、彼を連れて帰れませんでした。どうか、お気を確かに……
秧秧(ヤンヤン): ……
秋雁(シュウガン): ……どなたですか?
秧秧(ヤンヤン): 急いでください。定玄衛の指示で、村の広場に全員集まることになっています。
秋雁(シュウガン): そうでしたか、分かりました。
秋雁(シュウガン): 翼、荷物をまとめなさい。玄方城に行くわよ。
翼(ヨク): お城に行くの?じゃあ、秋おじさんに会いに行ってもいい?
秋雁(シュウガン): おじさんに迷惑をかけちゃダメよ。あの人は、とても忙しいんだから……
秧秧(ヤンヤン): (この家には、もう誰もいないみたいですね……)
巧釵(コウサ): あっ!あなた、今州から来た人だよね?董さんって人、知ってる?
秧秧(ヤンヤン): (董さん……行方不明者リストに載っていた方ですね!)
秧秧(ヤンヤン): ええ、董さんをご存じなのですか?どこかで見かけましたか?
巧釵(コウサ): うん。少し前に夢州へ行くって言って、この村に立ち寄ったの。お芝居の話がすっごく上手な人だったんだよ。
巧釵(コウサ): でも、一晩泊まっただけで、次の日には急いで出て行っちゃった。いつ戻ってくるか分からないけど……
巧釵(コウサ): はぁ……村はこんなことになっちゃったし、董さんが戻ってくるのも難しいかな。お芝居の続き、もっと聞きたかったけど……
秧秧(ヤンヤン): (彼女は董さんの身に起きたことを知らないようですね……)
秧秧(ヤンヤン): (でもこれで、今州の人たちが玄方地界に迷い込み、行方不明になったのは……間違いなさそうです)
高雲(コウウン): おや……お嬢ちゃん、これはあんたの梁鳶かい?まるで生きとるみたいに精巧じゃな。ひと目で腕のいい職人が造ったものだと分かるわい。
秧秧(ヤンヤン): (梁鳶……それがあなたの名前なのですね)
秧秧(ヤンヤン): いえ、おじいさん。ただ……どういうわけか、この子が私をあちこちに案内しようとしてくれているようで。
高雲(コウウン): ほう、それは面白い。お嬢ちゃん、髪の先に羽が混じり、額に音痕があるとは……共鳴者じゃな?ふぉっふぉっ、もしかするとこの梁鳶は霊性を宿しておって、あんたを古の「玄翎雀」と見間違えておるのかもしれんのう。
秧秧(ヤンヤン): 「玄翎雀」……?すみません、おじいさん。私は外から来た者なので……その「玄翎雀」について教えていただけませんか?
高雲(コウウン): ふむ……あんたのような余所者はおろか、地元の若者でさえ玄翎雀の伝説には興味を持たんからな……
高雲(コウウン): ずっと昔、ここが夢州の属地になる前のことじゃ。当時の玄方地界には、霊鳥たちが棲んでおった。透き通るような青い体に、黒い羽……人々はそれを「玄翎」と呼んだのじゃよ。
高雲(コウウン): 玄翎雀は人の言葉こそ解さんが、人の情を察し、心を通わせる力を持っておった。当時のここは険しい山道ばかりでな。人々はあの鳥に想いを託し、遠くの誰かへ気持ちを届けておったんじゃ。
高雲(コウウン): じゃが、悲しいことに……200年前のあの戦で……玄方地界は激しい戦火にさらされ、玄翎雀も絶えてしまったんじゃよ。
秧秧(ヤンヤン): (200年前……今州が築かれるきっかけとなった「雲淵の役」のことですね)
高雲(コウウン): その後、玄方城が築かれた頃には夢州の機巧術が伝わってきた。地元の職人たちは「玄翎雀」を惜しみ、その姿を模して梁鳶を造り、手紙を運ばせるようになったのじゃ。
高雲(コウウン): お嬢ちゃん、あんたはこの梁鳶と不思議な縁があるようじゃな。大切にしてやりなされ……語り継ぐ者がいなくなれば、梁鳶を造る者も、いずれ消えてしまうじゃろうからな……
秧秧(ヤンヤン): (そういえば……さっきもこの子が椋羽さんたちを呼んできて、私を助けてくれましたね……)
青黛に詳しい状況を尋ねる
青黛(セイタイ): あの子、椋羽さんが戻ってきてから姿が見えなくなって……
青黛(セイタイ): ほかの子たちにも聞いたんですけど、誰も知らないみたいで……
高雲(コウウン): 彦か、わしゃ見とらんのう。あの子は……はぁ、またあそこに行ったんじゃないか……
秧秧(ヤンヤン): あの、村の子がいなくなったんですか?
青黛(セイタイ): はい……!8、9歳くらいの小さな男の子で、すごく痩せていて……髪がボサボサで……
秧秧(ヤンヤン): 私にお手伝いさせてください。人探しには、少し自信がありますから。
青黛(セイタイ): ありがとうございます、助かります……
村の中の定玄衛と会話する
顔朗(ガンロウ): あんたか。一人で十数体の機傀を相手に、あれだけ立ち回るとは大した腕前だ。
顔朗(ガンロウ): 椋羽から聞いたぞ、今州から来た踏白だそうだな。最前線で戦う精鋭だけのことはある。
秧秧(ヤンヤン): いえ……それほどでもありません。先ほど戦った残像は、まるで訓練された兵士のように無駄がなく、とても素早い相手でした。外で見かける個体とは別物です。
顔朗(ガンロウ): ……この200年間、玄方城の咎庭は残像を掃討してきた。あいつらは歴代の定玄衛や機傀の目をかいくぐって生き延びた連中だ。どいつもこいつも、狡猾で凶暴な奴らばかりさ。
顔朗(ガンロウ): だが、玄方城の戦力の主力は機傀だ。俺たち定玄衛は、あくまで補佐に過ぎん。
顔朗(ガンロウ): あれほどの残像に単騎で対抗できるのは、定玄衛長を除けば、後玄三騎か、神出鬼没の「鎮玄司騎」様くらいのものだろう。
顔朗(ガンロウ): だが、機傀が反乱を起こした今、鎮玄司騎は咎庭に閉じ込められ、後玄三騎は椋羽ただ一人。正直、ここを死守したところで、機傀と残像の猛攻を凌ぐのは不可能に近いだろうな。
秧秧(ヤンヤン): それは……
顔朗(ガンロウ): 慰めはいい、覚悟はとうに決めている。十数年も軍にいれば、嫌でも腹を括るもんだ。ただ……
顔朗(ガンロウ): 今州の戦友よ。よければ、椋羽のことを気にかけてやってくれないか。
顔朗(ガンロウ): あいつは才能に恵まれているが、まだ若い。普段は三騎の他の二人が、妹のように可愛がっていてな。あいつもあの二人を、本当の兄姉のように慕ってたんだ。
顔朗(ガンロウ): 戦場に涙は無用だが、あの二人の死があいつにとってどれほどの衝撃か……俺たちには痛いほど分かるんだ。
顔朗(ガンロウ): 部隊を率いる者は、兵の前で弱みを見せてはならない。椋羽は気が強いから、きっとその悲しみを一人で飲み込もうとするだろう。
顔朗(ガンロウ): あんたはあいつと歳も近いし、定玄衛の人間でもない。もしかしたら……あんたになら心を開くかもしれない。
秧秧(ヤンヤン): そうだったのですね……分かりました。彼女の力になれるよう、できることを考えてみます。
秧秧(ヤンヤン): 皆さんが彼女をどれだけ大切にしているか、よく伝わりました。
顔朗(ガンロウ): 当たり前さ……あいつは早くに両親を亡くしてな。村のみんなで食べ物を持ち寄って育ててきたんだ。地元の俺たちからすれば、本当の妹みたいなもんだよ。
顔朗(ガンロウ): とにかく、頼んだぞ。
秧秧(ヤンヤン): 村の様子は、大体掴めましたね。
秧秧(ヤンヤン): 定玄衛の方々に、今の状況を聞いてみましょう。
秧秧(ヤンヤン): あの、青彦という男の子を見かけませんでしたか?
顔朗(ガンロウ): 青彦……ああ、青枳の弟だな。見かけたぞ。
顔朗(ガンロウ): 少し前、軍のテントに忍び込もうとして、見張りにつまみ出されてな。そのあとは……確か、祠堂のほうへ向かったはずだ。
秧秧(ヤンヤン): そうでしたか、ありがとうございます。行ってみますね。
梁鳶についていく
秧秧(ヤンヤン): (この子、私をどこかへ案内しようと……?)
秧秧(ヤンヤン): (付いていってみましょう)
積まれた箱を壊し、箱の後ろを調べる
男の子と会話する
青彦(セイゲン): なんでここが分かったんだ!?
青彦(セイゲン): お願いだ、ここにいることはお姉ちゃんに内緒にして!
青彦(セイゲン): 僕は祠堂に行かなくちゃいけないんだ。あそこには、剣が置いてあるはずだから。
青彦(セイゲン): あの剣さえあれば、僕だって……!
男の子についていく
秧秧(ヤンヤン): (何か深い事情があるみたいですね)
秧秧(ヤンヤン): (彼に何があったのでしょうか)
秧秧(ヤンヤン): (ひとまず、追いかけてみましょう)
秧秧(ヤンヤン): (さっきの女性が探していたのは、この子ですね)
秧秧(ヤンヤン): (彼のお姉さんは、きっと椋羽さんの戦友だった方……)
秧秧(ヤンヤン): (まずは追いかけましょうか)
祠堂に向かう
青彦(セイゲン): いっそ……僕が、この剣で……
秧秧(ヤンヤン): 危ない!その剣には刃がついています!
青彦(セイゲン): 放っておいて!僕が機傀と残像を倒して、お姉ちゃんの仇を討つんだ!
???: 鈴ちゃん、どうしてそんな無茶を……あの子はまだ三歳なのよ。あんたまで軍に入ったら……
???: ごめんね、お義母さん。私、もう決めたから。あの子の父親は帰ってこなかった。彼が雲陵谷で残像に殺されたことは……玄翎が教えてくれた。
???: 仇も討てないまま、彼と誓った愛を口にはできない。彼が半生をかけて守り、描き続けたこの場所を、残像に踏みにじられるままにはしておけないし。
???: お義母さん、夢州へ行ってこの楽器を質に入れてきて。少しはお金になるはずだから、二人でしばらく暮らすには足りるはずだよ。
???: この戦争が終わったら、私……必ず夢州まで二人を迎えに行くから。
???: 玄翎……これから何が起きるか、あなたには分かってるの?
???: なら、逃げたほうがいい。何も持っていかないで、全部ここに置いていってもいい。
???: いつだって、玄翎はみんなの心の拠りどころ……想いを繋ぐ架け橋なんだから。
???: みんなを不安にさせないよう、悪い報せを運ぶ使者にだけはならないで。
???: さあ、飛んで!ここから離れるんだよ。
???: まもなく……深淵に変わる、この場所から。
青黛(セイタイ): もう、あんたって子は!どうしてこんなところに一人で来てるの!?
青彦(セイゲン): お、お姉ちゃん、僕……
秧秧(ヤンヤン): 今のは……
銭坤(センコン): お嬢さん、大丈夫かい?少し顔色が悪いようじゃが。
秧秧(ヤンヤン): あなたは、さっき椋羽さんとお話しされていた……
銭坤(センコン): うむ、わしはこの銜翎村の村長じゃ。椋羽のことは、あやつが小さい頃からずっと見守ってきた。
秧秧(ヤンヤン): 村長さん、お聞きしたいのですが……ここに供えられている剣は?
銭坤(センコン): ただの無名の剣じゃよ。無名だからこそ、あの戦いに身を投じたすべての将兵の象徴なんじゃ。
銭坤(センコン): 200年前、この玄方地界で「雲淵の役」が起きた。夢州から大勢の兵が送られただけでなく、地元の若者たちも故郷を守るために自ら武器を手に取っての……
銭坤(センコン): その頃、わしは生まれておらんかったが、長老たちから凄惨さは聞かされておる。空まで血で赤く染まるほどの戦でな。生きて帰れた者は、十人に一人もおらんかったそうじゃ。
銭坤(センコン): この剣は、当時の戦場から拾われたものじゃ。誰のものかは分からんが、一つ言えるのは……これを振るった者は間違いなく、この地のために命を捧げた英雄ということじゃ。
銭坤(センコン): 戦火が収まると、夢州へ避難していた玄方の人々が少しずつ故郷へ戻ってきてな。この祠堂も、英霊たちを祀るために建てられたものなんじゃよ。
秧秧(ヤンヤン): (さっきの女性は、雲淵の役に身を投じようとしていたのですね)
秧秧(ヤンヤン): (あれは剣に宿っていた記憶?それとも……)
村長と会話する
銭坤(センコン): あの子の気持ちも、痛いほど分かる。普段から青枳のことを慕っておったからな……
銭坤(センコン): あの戦の記憶は、すべて歴史の彼方へ消え去ったと思っておったが、まさか、この土地が再び戦火に焼かれるとは。先祖たちが今の惨状を見たら、何と思うじゃろうか……
秧秧(ヤンヤン): ……たとえそうだとしても、まだ諦める時ではありません。
秧秧(ヤンヤン): できることを、最後まで精一杯やり遂げるだけです。少なくとも今この瞬間、なすべきことは残っています。
秧秧(ヤンヤン): 村長さん、この剣はただの象徴ではないはずです。決死の覚悟で生き抜くための、勇気を与えてくれるものですから。
銭坤(センコン): ……胸を打たれる言葉じゃな、お嬢さん。天を恨んでばかりおった自分が情けない限りじゃ。
銭坤(センコン): お嬢さん、ひとつ頼みを聞いてはくれんか?この剣を椋羽に渡してやってほしい。定玄衛の手で、玄方城へ持ち帰らせてほしいんじゃ。
銭坤(センコン): 残像が攻めてくれば、ここは草木すら残らぬ焦土となろう。剣はただの物に過ぎんが、この地の大切な遺産じゃ。どうか安全な場所で守ってやってほしいのじゃよ。
秧秧(ヤンヤン): 分かりました、村長さん。椋羽さんに必ず届けます。
銭坤(センコン): はぁ……あんたの言う通りじゃ、秧秧のお嬢さん。機傀は歳主様からの贈り物。我々はその恵みに甘え、200年余りも平穏に過ごしてきた。
銭坤(センコン): じゃが……これからは、我々自身で人事を尽くすしかないのじゃ。
青黛(セイタイ): お願い、言うこと聞いて!私と一緒に戻りなさい!
青彦(セイゲン): 嫌だ……!僕が逃げたら、お姉ちゃんの仇は誰が討つんだよ!?
秧秧(ヤンヤン): ……あなたは武術を習ったことがありますか?自分より何倍も強い敵と戦う方法を知っていますか?今のあなたに、お姉さんの仇が討てますか?
青彦(セイゲン): ぼ、僕は……定玄衛の人たちが訓練してるところを見てたから……
秧秧(ヤンヤン): あなたのお姉さんも定玄衛でした。きっと、とても強い人だったはずです。それでも……どれほど強くても、戦場で必ず生き残れるとは限らないのです。
青彦(セイゲン): じゃあ、どうしろって言うんだよ!お姉ちゃんは、もう帰ってこないのに……!
秧秧(ヤンヤン): それなら、今あなたの隣にいるお姉さんはどうするのですか?彼女のことは、あなたが守らなくていいのですか?
青彦(セイゲン): 僕は……
秧秧(ヤンヤン): 今は、彼女のそばにいてあげてください。みんなが集まっている場所に二人で向かうのです。
青彦(セイゲン): あなたも……僕のお姉ちゃんと同じ、軍人なの?
秧秧(ヤンヤン): ええ。自分を守れない人たちを守るために、軍人になりました。
秧秧(ヤンヤン): 誰かを守る強さを身につけるには、1日や2日では足りません。
青彦(セイゲン): じゃあ……今度僕にも教えてくれる?剣術を!残像を倒せる剣術を教えて!
秧秧(ヤンヤン): ええ、約束します。その代わり、あなたも約束してください。私が剣術を教えるその日まで、隣にいるお姉さんを守り抜くことを。
青彦(セイゲン): ……うん!
長剣を取る
秧秧(ヤンヤン): (村長さんの頼みもありますし、椋羽さんに会いに行きましょう)
秧秧(ヤンヤン): (まずは、彼女の居場所を……)
歌声がする方に向かう
椋羽を見つける
椋羽(リョウウ): ……
椋羽(リョウウ): 誰だ!――はぁ、あなたか。
椋羽(リョウウ): 私に何か用か?斥候は戻ってないが、もうこれ以上は待てない。
椋羽(リョウウ): 村人たちが集合したら、出発する。
秧秧(ヤンヤン): 先ほど、村長さんにお会いしました。この剣を定玄衛に預けたいそうです。
椋羽(リョウウ): 剣……?こんな時に、剣の心配をしてる余裕はない……道中は危ない、人の命を守るだけで精一杯だ。剣なんかに構ってる場合じゃない。
秧秧(ヤンヤン): ……それなら、この剣はひとまず私が預かりますね。
椋羽(リョウウ): あなたという人は……まあ、好きにするといい。
秧秧(ヤンヤン): そういえば、まだきちんとお礼を言えてませんでしたね。助けていただいたうえに、休む部屋まで用意してくださって。
椋羽(リョウウ): 気にするな。私は村にずっと帰ってなかったから、どうせ空き家だったんだ。
秧秧(ヤンヤン): あの家、椋羽さんのご自宅だったんですね……
椋羽(リョウウ): ただの古い空き家だ……この村も、じき残像に踏み荒らされて、瓦礫の山になるだろうからな。
椋羽(リョウウ): 家がなくなっても、また何度でも建て直せる。だが、死んでしまった人は二度と戻ってこない……
秧秧(ヤンヤン): だからこそ、今は生きている人たちに目を向けましょう。
椋羽(リョウウ): ……
椋羽(リョウウ): まだ何か用か?言いたいことがあるなら手短に頼む。
秧秧(ヤンヤン): 少しだけ、お話ししませんか?
椋羽(リョウウ): 悪いが……今はそんな気分じゃないんだ。
秧秧(ヤンヤン): 普段の私なら、こんな風に無理強いしません。
秧秧(ヤンヤン): ですが椋羽さん、私たちは軍人です。果たすべき責務がある以上、感情に足を取られている場合ではありません。
秧秧(ヤンヤン): ……私の共鳴能力は、遠くの風が運んでくる囁きを感じ取ることができるんです。
秧秧(ヤンヤン): とても便利で、役に立ちます。誰も気に留めないような場所で、誰かが助けを求めていることに気づけますから。
秧秧(ヤンヤン): ただ、時々……それがつらくなることもあるんです。
秧秧(ヤンヤン): 悲劇の反響、災いの余韻……すべてが終わって、私にはもう何もできないのに……風は容赦なく、その声を届けようとする。
秧秧(ヤンヤン): そういう声を聴くたびに、胸が締めつけられます。
椋羽(リョウウ): あなたは……
秧秧(ヤンヤン): 大丈夫です、無理に話す必要はありません。あなたの心の声は、もう……私に届いていますから。
椋羽(リョウウ): ……私は、みんなと目を合わせるのが怖いんだ。
椋羽(リョウウ): みんなが私に求めているものくらい分かっている。私自身……矢面に立ってくれる誰かを、ずっと待ち望んでいたからな。
椋羽(リョウウ): 杜仲と青枳は、まさにそういう人間だった。「後玄騎使」なんて肩書きがなくても、立派に部隊を率いる器だった……なのに、あの二人が死んで、私だけが生き残った。
椋羽(リョウウ): あの時、私がもっと早く異変に気づいていれば……この命に代えてでも……どうして私がっ!
秧秧(ヤンヤン): どうでしょう?口に出してみたら、少しは楽になりませんでしたか?
秧秧(ヤンヤン): きっと……誰かに答えを教えてもらう必要なんてないはずです。どうすべきかは、あなた自身が一番よく分かっているはずですから。
秧秧(ヤンヤン): ただ、失敗するのが怖いだけです。やり直せない選択だからこそ、恐れている。
秧秧(ヤンヤン): ですが……腹を括って前に進むしかない時だってあります。
椋羽(リョウウ): ……北落野原の戦いでも、あなたたちはそう思っていたのか?
秧秧(ヤンヤン): ほかの人のことは分かりませんが、最後は頭の中も真っ白になりながら、無我夢中で戦っていました。
秧秧(ヤンヤン): あの戦いは、本当に多くの人に助けられながら掴んだ勝利でした。確かに一人の人が、私の……みんなの前に立ってくれましたね。
秧秧(ヤンヤン): でも、あの人がずっとそばにいてくれるわけじゃないことも分かっています。
秧秧(ヤンヤン): 誰かの背中に憧れているだけでは、その場から永遠に動けません。
秧秧(ヤンヤン): 今度あの人に会う時は、背中を追うのではなく、隣に並んで歩きたいんです。
秧秧(ヤンヤン): 玄方城の状況はまだ分かりませんが……さっきも言った通り、風が私をここへ導いたのなら、私がすべきことはたった一つ。
椋羽(リョウウ): ……あなたの言う通りだ。何があろうと、責任を全うしなければ。
秧秧(ヤンヤン): そういえば、さっき口ずさんでいた歌は……?
椋羽(リョウウ): 歌?まさか、無意識に歌っていたのか……
椋羽(リョウウ): ……あれは幼い頃、母が教えてくれたんだ。
椋羽(リョウウ): と言っても、すべてを教わったわけじゃない。楽譜は200年も前に失われてしまったからな。今の私たちは、うろ覚えのメロディーを鼻歌でなぞるのが精一杯なんだ。
秧秧(ヤンヤン): そうだったんですね……
椋羽(リョウウ): あなた……この歌を知っていたのか?それとも、一度聴いただけで覚えたのか?
秧秧(ヤンヤン): ……このメロディーで、みんなの心が少しでも穏やかになればと思ったんです。
椋羽(リョウウ): ……そうだな。それに私なんかよりも、ずっと上手だ。
明煜(メイイク): 椋羽騎使!「霄巡りの環」が、こちらへ接近する機傀の反応を捕捉しました!2時間以内に、この村に到達します!
椋羽(リョウウ): ……もう待てないな。斥候の報告が来ていない以上、移動しながら偵察を進めるしかないか。
秧秧(ヤンヤン): 私に行かせてください。偵察と警戒は、踏白本来の務めです。私の共鳴能力なら、危険を事前に察知して避けられます。
椋羽(リョウウ): ……分かった、城外の軍策府キャンプの座標を送る。合流できる人員がいるはずだ。到着したら、現地の兵に梁鳶で安全なルートの地図を送らせてくれ。届き次第、こちらも出発する。
椋羽(リョウウ): 担当者に雲帛機騎の使用権限を開放しておこう。あれを使えば、移動時間をかなり短縮できる。
明煜と会話し、雲帛機騎の権限を解放する
明煜(メイイク): 来たか、デバイスを出してくれ。「雲帛機騎」の権限を登録しよう。
明煜(メイイク): これは夢州の華胥研究院と天工が共同開発した乗り物だ。グライダーとは比べものにならないほど速いぞ。
明煜(メイイク): キャンプへ向かうなら、この近くに抜け道がある。
明煜(メイイク): 「玄幽東岳」は地形が険しいだけじゃない、大量の息隠れの霧も出ている。道中、くれぐれも気をつけてくれ。
銜翎村から出る
秧秧(ヤンヤン): とにかく……まずは周辺の地形を把握しましょう。
秧秧(ヤンヤン): 全体を見渡せそうな場所を見つければ……
秧秧(ヤンヤン): (雲帛機騎……想像よりも、ずっと扱いやすいですね)
秧秧(ヤンヤン): (熾霞が見たら、きっと喜ぶでしょう。彼女も……無事に逃げられてるといいのですが……)
秧秧(ヤンヤン): (……急ぎましょう)
このまま進む
機傀を倒す
秧秧(ヤンヤン): 機傀……あの数なら……
秧秧(ヤンヤン): すぐに片づけられるかもしれません……!
敵を倒す
このまま進む
斥候の状況を確認する
秧秧(ヤンヤン): この人たちは、定玄衛……
秧秧(ヤンヤン): 椋羽さんから聞いた斥候は、きっと彼らのことですね……
秧秧(ヤンヤン): ……そんな。もう、息がない……
このまま進む
秧秧(ヤンヤン): さすがに数が多すぎますね。ここで戦えば、大騒ぎになってしまいます……
秧秧(ヤンヤン): 別の道を探しましょう。
ほかの道を探す
このまま進む
林念(リンネン): 止まりなさい!何者ですか、名前は!?
秧秧は守衛に事情をかいつまんで説明した。
林念(リンネン): そうですか……安全ルートの偵察に来てくれた、と。助かりました、ずっと連絡を待ってたんです。
秧秧(ヤンヤン): それと……道中で斥候の方々を見つけたのですが、皆さん、もう……
林念(リンネン): そうでしたか……知らせてくれて感謝します。なかなか戻らないですし……覚悟はしてました。
林念(リンネン): ……グズグズしてられませんね。すぐに椋羽騎使へ知らせを送ります。
林念(リンネン): ご苦労様でした。この先がキャンプです、休めるところまで案内しましょう。
キャンプで休憩する
秧秧(ヤンヤン): (皆さん、無事にたどり着けるといいのですが……)
遠志(エンシ): お嬢さん……あんたが連れてるのは、梁鳶かい?
遠志(エンシ): その梁鳶で……夢州にいる俺の家族に、手紙を届けてもらえないだろうか。
秧秧(ヤンヤン): これは……
遠志(エンシ): はぁ……故郷を離れて数年。今回の事変で、もう二度と妻や子供に会えないかもしれない。この手紙が、最期の言葉になるかもしれないんだ……
遠志(エンシ): 城の兵士たちに手当たり次第頼み込んだが、今は緊急事態で梁鳶は軍事連絡にしか使えないと断られてしまってな。お嬢さん、どうか……どうかお願いだ!
秧秧(ヤンヤン): そんな、顔を上げてください。この手紙、確かにお預かりしました。
遠志(エンシ): 本当に、感謝する……お嬢さん!
秧秧(ヤンヤン): (できることなら、ご家族は手紙を受け取るのではなく、無事に帰ってきた彼を迎えてほしいですが……)
秧秧(ヤンヤン): (お父さん、お母さん……漂泊者さん)
秧秧(ヤンヤン): (もうすぐ、姉さんが今州へやってくるはずです。私がいなくて、心配をかけてないでしょうか……)
秧秧(ヤンヤン): (私も……ここで起きたことを、書き残しておくべきかもしれませんね)
秧秧(ヤンヤン): (手がかりの整理も兼ねて……いつか、目にする誰かの役に立つかもしれませんから)
手紙を書く
今までの出来事を書く
椋羽(リョウウ): そうか……誰一人、戻れなかったのか……
椋羽(リョウウ): 秧秧、あなたのおかげで、敵を避けて進むことができた。全員無事にたどり着けたのは、まさに幸運だ。
秧秧(ヤンヤン): 皆さんが無事で、本当に良かったです。
椋羽(リョウウ): 玄方城はもう目の前だ。少し休んだら城の部隊に連絡し、全員を中へ避難させる。
椋羽(リョウウ): あなたが追っている事件のことだが……定玄衛長 が 梁鳶で情報を集めているはずだ。合流できたら、今後の対策を相談しよう。
秧秧(ヤンヤン): 分かりました。その頃には、夢州からの援軍も届いているかもしれませんね。
椋羽(リョウウ): ふぅ……そう願いたいものだな。
椋羽(リョウウ): 次は――
椋羽(リョウウ): 馬鹿な……完全に撒いたはず!
椋羽(リョウウ): 信号弾を上げろ!城内の部隊に迎撃させるんだ!
椋羽(リョウウ): くそっ……この速さでは間に合わない!陣形を組んで食い止めろ!民間人が逃げ切るまで時間を稼ぐんだ!
秧秧(ヤンヤン): ダメです!敵の数は3倍以上……すぐに突破されます!
顔朗(ガンロウ): 椋羽。どうやら……誰かが残って、しんがりを務めるしかなさそうだな……
椋羽(リョウウ): なら、私が――
秧秧(ヤンヤン): 椋羽さん、あなたは部隊の指揮官です。その肩に皆さんの命がかかっていることを忘れないでください。
秧秧(ヤンヤン): 私が囮になって、機傀と残像を引きつけます。任せてください。これでも場数は踏んでいますから。
明煜(メイイク): 敵の数が多すぎる。一人じゃ足止めにもならない、最低でも三人は必要だろう。
椋羽(リョウウ): あなたたちは……
林念(リンネン): 騎使!城から応答です!
椋羽(リョウウ): 私は――!
椋羽(リョウウ): ……顔朗、明煜の二名は、秧秧の援護に当たれ。
椋羽(リョウウ): 残りの者は退却だ!陣形を崩さず、全速力で離脱しろ!
定玄衛一同: はっ!!
撤退のための時間を稼ぐ
秧秧(ヤンヤン): 機傀を別の方向に誘導しなくては……
顔朗(ガンロウ): 一人で抑えきれる数じゃない!囲まれるなよ!
明煜(メイイク): 機傀との戦いなら、俺たちのほうが慣れている。今州の援軍を、一人で囮にさせられるかよ。
秧秧(ヤンヤン): お二人とも……
秧秧(ヤンヤン): ……ありがとうございます!
明煜(メイイク): ぐっ……あぁっ!
顔朗(ガンロウ): 明煜!ちくしょう……くたばれっ!!
顔朗(ガンロウ): ゲホッ、ゴホッ……はぁ、やっと……片付いたか……
秧秧(ヤンヤン): ごめんなさい……私がもっと早く気づいていれば……
顔朗(ガンロウ): へへっ……あんたまで、椋羽と同じことを言うんだな。
顔朗(ガンロウ): 俺は平気だ……少し休めば、すぐよくなるさ……
顔朗(ガンロウ): ただ、明煜の奴が……
顔朗(ガンロウ): あいつのことを待ってる子が、何人もいたのにな……
顔朗(ガンロウ): ……
秧秧(ヤンヤン): ……
このまま進む
傷だらけの定玄衛: ゲホッ、ゴホッ……!
傷だらけの定玄衛: あぁ……終わった、のか……
傷だらけの定玄衛: 玄翎……教えてくれ。淵城は、守り抜けたのか?
傷だらけの定玄衛: 頼む……俺にはまだ、伝えたい言葉が……
戦場の状況を調べる
負傷した定玄衛: お、お前……無事だったか?
重傷を負った定玄衛: うっ……どうやら、足をやられたみたいだ……
重傷を負った定玄衛: ほ、ほかの奴らは、どうなった……?
負傷した定玄衛: 分からん……だが、全滅も同然だろうな。
負傷した定玄衛: 最初の攻撃はどうにか凌いだが、次が来たらもう……
重傷を負った定玄衛: おい、玄翎……お前は、俺たちで勝てると思うか……?
負傷した定玄衛: はっ……どっちにしろ俺たちは、決着を見届ける前に……
瀕死の村長: 玄翎……玄翎雀か……
瀕死の村長: 良かった……お前たちは、まだ生きて……
瀕死の村長: 早く逃げろ、逃げるんだ……村はもう、おしまいだ……
瀕死の村長: ほ、ほかに生き残りはいないか、見てきてくれ……
瀕死の村長: その者たちを連れて……ここから、遠くへ……
戦場を抜ける
秧秧(ヤンヤン): (ここでは……いったい、どれほど凄惨な戦いがあったのでしょうか……)
秧秧(ヤンヤン): (そして……この悲劇は、いつまで続くのか……)
秧秧(ヤンヤン): (戦場の声が……濁流のように、私を飲み込もうと……)
秧秧(ヤンヤン): (……私はっ!)
歌声についていく
幼い女の子: うぅ、うわぁぁん……お、お姉ちゃん……
重傷を負った少女: もう、泣かないで……
重傷を負った少女: その歌声を、玄翎に届けて……
重傷を負った少女: そうすれば、きっと……お家に、帰れるから……
秧秧(ヤンヤン): ……
若い職人: 次の残像の群れが、もうじき来るようですね。
若い職人: ふむ、これ以上ないタイミングで到着するとは。
若い職人: 我々の役割は、西の第二戦線を支えることです。天工の皆さん、「刃偶」を目覚めさせましょう。
若い職人: 今回投入する刃偶は、琢鈞堂が積み上げてきた技術の結晶。実戦こそ、最上の試験場となるはず。
若い職人: 淵城は天工と琢鈞堂が全霊を注いだ人智の要塞、いわば芸術品です。知能の欠片もない残像に、美学を汚されてはなりません。
職人たち: はっ!
秧秧(ヤンヤン): 琢鈞堂……確か椋羽さんが言っていた、夢州の機巧術組織ですね……
???: あの……
???: 空翔ける玄翎よ……思いを乗せ……
???: 澄み渡る空へ……果てしない大地へ……
突然現れた人と会話する
秧秧(ヤンヤン): 元の場所に、戻れたのでしょうか……?
???: お嬢さん。ここも物騒ですから、早めに立ち去ることをお勧めします。
秧秧(ヤンヤン): あなたこそ、避難しなくていいのですか……?
???: おや……失礼しました。どうやら見立て違いだったようですね。軍用武器を持ち歩いていますし、軍の関係者でしたか。ただ、見慣れない顔ですし、装いも定玄衛のものではないようですが……
秧秧(ヤンヤン): ……私は今州の夜帰です。ここに至るまでの事情は複雑で、簡単に説明するのは難しそうです。
秧秧(ヤンヤン): お名前と身分を伺ってもよろしいですか?仰る通り、ここは危険な場所です。民間人が一人でいるのは、不自然ですから。
木禺(モクユウ): ええ、もちろんですとも。私は木禺と申します。玄方城の天工部に所属する職人でして。念のため、身分証をお見せしましょうか?
木禺(モクユウ): 昨日は軍策府の命で、近くの咎庭まで定期メンテナンスに向かう途中だったのです。
木禺(モクユウ): ところが……目的地に着く直前で機傀が暴走し、護衛していた定玄衛を無差別に襲い始めたのです。
木禺(モクユウ): 運よく一命は取り留めましたが、そのまま山中へ逃げ込む羽目になりまして。機傀の気配が完全に消えたことを確認し、様子を見にきたところなのです。
木禺(モクユウ): そこで、あなたの姿が目に入ってきたわけです……周囲の惨状からして、かなりの苦しい戦いだったのでは?まさか、あなた一人で?いやはや、見事な腕前ですね。
秧秧(ヤンヤン): (この人には、どこか違和感が……)
秧秧(ヤンヤン): 天工の職人だとしたら、城まで護衛しましょうか?
木禺(モクユウ): とんでもない。今は城に戻るべき時ではありません。これから方擎西峰へ向かわなければならないのです。一刻の猶予もありません。
秧秧(ヤンヤン): 方擎西峰……なぜですか?そこには何があるのでしょう。
木禺(モクユウ): あそこには、この地域最大の機傀生産工場と、残像の焼却施設「懸天の構」があります。もし、あそこが陥落し暴走した機傀と残像が玄方地界に流れ込めば……取り返しのつかない大惨事になるでしょう。
木禺(モクユウ): 実を言うと、少し前に各咎庭の指定経路を点検していた際に、数体の機傀がルートを外れているところを目撃したのです。
木禺(モクユウ): 機傀は本来、自律稼働する精密な機械です。当初は戦闘ダメージによる回路の損傷……単なる故障だと思っていました。ですが今にして思えば、あの時から「反乱」が始まっていたのでしょう。
木禺(モクユウ): そして、逸脱した機傀が向かっていた先こそ……懸天の構だったのです。
秧秧(ヤンヤン): では、あなたは……あそこに暴走の原因があると考えているわけですね?
木禺(モクユウ): ええ、その通りです。
秧秧(ヤンヤン): 機傀の暴走原因が分からない以上、その話が本当なら、懸天の構は敵の巣窟になっているでしょう。そんな危険な場所へ向かって、どう身を守るつもりですか?
木禺(モクユウ): ふふっ……ご心配なく。我ら玄方地界の天工は、代々この険しい山々に挑み、自然をねじ伏せて玄方城を築き上げてきたのです。技術者としての矜持と、それなりの度胸は持ち合わせていますよ。
木禺(モクユウ): それに、この地が存亡の危機にあるなか、自分の安全を優先しては、天工の名が泣きますからね。
木禺(モクユウ): ……時に、夜帰のお嬢さん。あなたからはかなりの手練れの気配がします。よければ同行をお願いできませんか?あなたがいれば……私の安全も、「確実なもの」になりますから。どうでしょう?
秧秧(ヤンヤン): (今州の行方不明事件と時期も重なります。この手がかりを逃すわけには……)
秧秧(ヤンヤン): (それに……彼の言葉が嘘であれ真実であれ、見過ごせません……)
秧秧(ヤンヤン): ……分かりました、同行します。
木禺(モクユウ): おお、それは心強い。善は急げです、すぐに出発しましょう。
木禺についていき方擎西峰に向かう
秧秧(ヤンヤン): ですが、東と西の山の間には廃墟となった淵城が立ちはだかっています。あそこをどう通り抜けるつもりですか?
木禺(モクユウ): それならご心配なく。私たち天工は、この地のあらゆる機巧の構造を熟知しています。淵城も例外ではありませんよ。
木禺(モクユウ): 滅多に使われませんが、目的地へ抜ける隠し道を知っていますから。
木禺(モクユウ): ここが入り口です。すでに放棄された場所ですから、機傀に襲われる心配はありません。私が先導しましょう。
秧秧(ヤンヤン): ……はい、お願いします。
木禺についていき淵城を抜ける
木禺についていく
秧秧(ヤンヤン): これが、「雲淵の役」の爪痕なのですね……
木禺(モクユウ): ええ。「雲淵の役」が起こった際、かつてない規模の残像潮が玄方地界に押し寄せました。その侵攻を食い止める最前線が、この淵城だったのです。
秧秧(ヤンヤン): 機巧に刻まれている、このマークは……?
木禺(モクユウ): 淵城は天工と琢鈞堂が共同で築いた要塞ですからね。琢鈞堂の印が至るところに残されているのは、当然のことでしょう。
このまま進む
秧秧(ヤンヤン): 淵城の古戦場……これほどの歳月が流れても、当時の惨状が生々しく残っているなんて……
木禺(モクユウ): 当時、残像潮の勢いは増すばかりでした。夢州の歳主心月狐は、この淵城だけではもはや防ぎきれないと判断したのでしょう。
木禺(モクユウ): そこで心月狐様は、人智を超えた神秘の力と権能を注ぎ込み、淵城の上に新たな砦――「玄方城」を築き上げました。
木禺(モクユウ): 玄方城は、まさに機巧術の到達点。完成すれば、歳主の目論見通り、城の構造そのもので残像を分断、殲滅できるはずでした。
木禺(モクユウ): あれは寸分の狂いもない超大型機関。その規模は、人間の手が及ぶ領域ではありません。
木禺(モクユウ): ですが、皮肉なことに……無相燹主は、玄方城が完成する直前の最も脆い瞬間を狙い、奇襲を仕掛けてきたのです。
淵城の廃墟の様子を調べる
残像を倒す
このまま進む
過去の残響を調べる
秧秧(ヤンヤン): この兵士たちは……自らを囮にしてまで、残像を中に誘い込んだのですね……
木禺(モクユウ): 淵城に配備された大軍も、琢鈞堂の刃偶も、押し寄せる残像の高波の前では、脆く崩れ去る張り子の虎に過ぎなかったのです。
秧秧(ヤンヤン): ……それでも、彼らが命を懸けて戦ったおかげで救われた命が、守られた未来があったはずです。
崖っぷちから下へ進み、淵城の奥へ
淵城の下層を通り抜ける
(任意)咎籠を調べる
このまま進む
淵城の最奥へ進む
秧秧(ヤンヤン): ここは……残像による破壊というより、何か巨大な爆発があったような……
木禺(モクユウ): ……どうやらお嬢さんは、雲淵の役の真の幕引きをご存じないようですね。
木禺(モクユウ): 無理もありません。今の夢州の人々にとって、あの戦いはただ「悲惨だった」という薄いイメージでしかないのですから。
起爆台を調べる
木禺(モクユウ): 人の力では、どう足掻いてもすべての残像を退けることは不可能だと悟った時――
木禺(モクユウ): 為す術を失った夢州の最後の一軍は、この淵城そのものを爆破し、自壊させたのです。
その後、玄方に降り立った「神の知恵」によって、目を覆うような惨劇はようやく幕を閉じました。
定玄衛の様子を見る
若い職人: いや 違う まだ何か足りない……
若い職人: どこに欠陥が? 武器の強度か 性能か? それとも……
若い職人: ぐあぁっ――!?
不屈の定玄衛: この 忌々しい化け物め……っ!
若い職人: これは……?
若い職人: ……興味深い
若い職人: 人間の最も御しがたい部分を 完璧に至るための礎に作り変える……
若い職人: ……これこそ 真の有効活用と言えるだろう
木禺(モクユウ): どうしましたか、お嬢さん?「懸天の構」は目の前ですよ。機傀が暴走した原因も、すぐに判明するでしょう。
秧秧(ヤンヤン): その、右目は……
木禺(モクユウ): おや、この目ですか?お気になさらず。昔、残像に襲われた時の古傷ですよ。
秧秧(ヤンヤン): 「昔」というのは、「雲淵の役」のことですね?
木禺(モクユウ): ……
木禺(モクユウ): ……面白い、お前とは初対面のはずだ。この地で俺の過去を知る者も、誰一人としていない。
秧秧(ヤンヤン): 人は何かを隠そうとする時、無意識に言葉を選んで事実を遠ざけようとします。
秧秧(ヤンヤン): 私は……そういった嘘や隠し事を見抜くのが、少し得意なので。
木禺(モクユウ): ほう……そんな力まであったのか。
木禺(モクユウ): だが、確信があるということは……ソノラの中で何かを見たんだろう?
秧秧(ヤンヤン): ……200年前、あなたは琢鈞堂にいましたね。そうでしょう?
木禺(モクユウ): 「琢鈞堂」か……久しぶりに聞いたな、懐かしい響きだ。
木禺(モクユウ): 「天才」や「狂人」と呼ばれる「異常者」の吹きだまりさ……所詮、俺からすれば、ただの幼稚園だったが。
木禺(モクユウ): 神の視点からでは、天才の頂点に立とうと地を這う虫けらに過ぎない。
木禺(モクユウ): 「終点」は手の届くところにあるというのに、歳主とやらは……堂々巡りを繰り返すアリの群れを、ただ傲慢に眺めているだけ。
木禺(モクユウ): 文明の火に長らく当たりすぎたせいで、すっかり忘れてしまったとは。最初の火は、人が神から盗み出したという事実を。
秧秧(ヤンヤン): あなたが……このすべてを仕組んだ元凶なのですね?
木禺(モクユウ): 仕組んだとは心外だな。その辺の退屈な陰謀家と一緒にしないでくれ。例えば……残星組織のような連中とは。
木禺(モクユウ): 俺はとある「課題」に取り組んでいるに過ぎない。そして、その検証には相応の「実験」が必要なだけだ。
秧秧(ヤンヤン): 言い訳なら、軍策府でゆっくり聞かせてもらいます。
木禺(モクユウ): あいにく、俺は効率を重んじる主義だ。目的と無関係な人間や物事には、一秒たりとも費やす気はない。
木禺(モクユウ): お前の前に姿を見せたのは、当然、必要だと判断したからだ。
秧秧(ヤンヤン): ……
木禺(モクユウ): ……お前は他人にばかり目を向け、自分の「特別さ」に目を背けてきたようだな。
木禺(モクユウ): 実に嘆かわしい。お前の生き方は、宝の持ち腐れ以外の何物でもない。
木禺(モクユウ): 俺には視える。お前の周波数から紡ぎ出される「残響」は、まさしく夢にまで見た理想の素材だ。
木禺(モクユウ): 100人……いや、1000人の掃き溜めの残響をかき集めたところで、お前一人の価値に到底届かない。
秧秧(ヤンヤン): さっきから、会話が噛み合いませんね……
秧秧(ヤンヤン): あなたが何を言ってるのか理解できませんし、理解するつもりもありません。
秧秧(ヤンヤン): 確かなのは……その世迷いごとが、風に乗ることは二度とないということです。
秧秧(ヤンヤン): ……すべて、ここで終わらせます!