目指すは、空

鳴式アレフ1の追放には成功したものの、ルシラーに待ち受ける本当の危機はここからだった。エクソストライダーを失った今、学園の出資者たちは適格者、さらにはラベル学部そのものの存在意義に疑問を投げかけ始めている。先生として、そして学園長として――理想と現実の狭間に立たされたルシラーは、重大な決断を迫られていた……

学園長室に入る

漂泊者: (ルシラーは忙しそうだな。外で待っていよう。)

ルシラー: ええ、構いませんわ。プロジェクトの資金承認フローに関しては、そちらの「ネオユニオン方式」に合わせて調整しましょう。

ルシラー: その代わり……テーマの選定については、研究グループの自主性を尊重していただきたいのです。

ルシラーが通信を終えるのを待つ

ルシラー: ええ、その2件に関しては、来週の電話会議で詳細を詰めましょう。前例のない協力体制ですから、同僚とも調整が必要になります。

ルシラー: ふふっ。御社を困らせようだなんて、微塵みじんも思っておりません。学園はパートナー方に対して、常にオープンな姿勢を保っております。

ルシラー: ええ、それではまた来週。良い一日を。

ルシラー: すーっ、はぁ……あのクソハムスター!火事場泥棒みたいに足元を見るなんて!ここを叩き売りのバーゲン会場か何かだと思ってるの!?

漂泊者:

ルシラー: 平気よ。

ルシラー: 厄介なパートナーと「些細な」意見の食い違いがあっただけ。ただ……はぁ。コーヒー、漂泊者君も飲むかしら?

漂泊者:

ルシラー: あら……気づかなかったわ。もう朝だったのね。

ルシラー: ……違うわ、寝てないだけよ。もう夜が明けてたなんて……

漂泊者: 学園長、いったい何をしてるんだ?

ルシラー: そうね、私は何をしているのかしら……勇者が魔王を倒したら、「みんな幸せに暮らしました」で終わるはずでしょう?

ルシラー: どうして私は、不眠耐久実験の被験者みたいになってるのかしら……はぁ。

ルシラー: これは先駆条約にいた頃に、同僚が教えてくれた特製コーヒーよ。一口、どう?

漂泊者: (もしかして、中に入ってるのは……)

漂泊者:

ルシラー: これはネオユニオンの「ゴールドランナー」たちの間で流行ってるのよ。いいところは効き目が強いこと、悪いところは効き目が強すぎることね。

ルシラー: ふぅ……生き返ったわ。

漂泊者:

ルシラー: 退屈な日々だったわ……でも、印象的な時間も少なくなかった。

ルシラー: 今は毎日、学生たちと一緒にいるけれど……学生時代の自分とは変わってしまったようで、寂しくもなるわ。

漂泊者: ヴェリーナとも一緒に仕事をしてたんだな。以前、今州こんしゅうにいた時、彼女に助けてもらったことがある。

ルシラー: あら!あの子、今州こんしゅうに渡っていたのね……ええ、分かるわ。長い目で見れば、ネオユニオンの環境は彼女のような才能ある共鳴者にとって窮屈だもの。

ルシラー: いっそ、彼女を学園に招待しようかしら……私の残業に付き合ってもらうために、ね。

漂泊者: 写真の中の学園長は、今と少し雰囲気が違うな。

ルシラー: 確かに、少し違うかもしれないわ……コホン、つまり体型が崩れてきたって言いたいの?

漂泊者:

ルシラー: あれは……えっと、ある「教え子」が撮って送ってくれたの。残念ながら、私は写真でしか見たことがないけれど……

ルシラー: 写真で見る限り、人の背丈の2倍はあるわ。本当にあんなに大きい精霊がいるのかしら?

漂泊者: ……それで、結局俺は何をすればいいんだ?

ルシラー: 漂泊者君。原則として、学生にこんなことを聞くべきではないんだけど……友達同士の噂話だと思って聞いてちょうだい。

ルシラー: つまり、その……「政治的な裏技」として、こういう可能性はあるかしら……

ルシラー: 私とあなたの非公式な会話で出た情報が、個人的なルートを通じて……どの国にも属さない「大手国際機関」の調査報告書に影響を与えるとか?

漂泊者:

ルシラー: コホン、単刀直入に聞くわ。漂泊者君……あなた、ブラックショアに顔は利く?

漂泊者:

ルシラー: 漂泊者君、手短に説明するわ。エクソストライダーとアレフ1がラハイロイを去ってから……学園は少々、窮地に立たされているの。

ルシラー: この通り、出資者たちはエクソストライダーという存在価値を失った学園を「再評価」しようとしているわ。来週にでも審査会を開いて、新しい管理方針をねじ込むつもりでしょうね。

ルシラー: その前に先手を打って、「第三者機関による独立調査」を取り付けたわ。彼らの報告書があれば、審査会の流れを大きく変えられるはずよ。

漂泊者: なるほど、学園の審査にブラックショアを呼んだのか。いつ来るんだ?

ルシラー: リューク先生が、リンクドスパインまで審査官を迎えに行ってるわ。もうすぐ着くはずよ。

ルシラー: 漂泊者君。公正な調査に干渉するような、無粋ぶすいな真似はしないわ。でも、一緒に審査官を出迎えてほしいの。できれば……

漂泊者: プラスのことでも話してほしいのか?

ルシラー: いいえ、ありのままの学園を知ってもらえれば、それでいいわ。私は自分の学生たちを信じているから。

ルシラー: リューク先生と審査官が到着するそうよ、行きましょうか。

ルシラー: あ、ちょっと待ってちょうだい。

ルシラー: よし、行きましょう!

駅のホームに向かう

漂泊者: 誰もいないな。まだ到着してないのか?

ルシラー: 待って、リューク先生から連絡があったわ。審査官がどうしてもバイクに乗ってみたかったそうよ。だとしたら、駅の上の階に着くはず。行きましょう。

審査官を迎えに行く

ルシラー: あら、これは……?

シグリカ: 先生!偉い人が視察に来るって聞きましたよ!安心してください。わたしたち、歓迎の準備はバッチリですから!

リンネー: そうそう!あたしたちで簡単な歓迎会の準備もしときましたよ!

ルシラー: もう、あなたたちは……いい?先に言っておくけど、私の合図に従って動くこと。もし相手が厳格なタイプだった場合……

アールト: ははっ!

アールト: いやぁ~!このバイク、走り心地が最高だねぇ!

アールト: ……って、おっと?なんだ、この人数は?

アールト: 「お忍びの視察」って話じゃなかったか?

ルシラー: ……こんにちは。スタートーチ学園の学園長を務めているルシラーです。審査官様、本日はお越しいただき、心より歓迎いたします!

学生たち: 学生一同、審査官様を歓迎いたします!

アールト: あ、あぁ……えっと、俺はアールトだ。ハハッ、随分と盛大なお出迎えだな。

シグリカ: 審査官様、こんにちは!プレパラトリー・プログラムのシグリカです。ようこそお越しくださいました!

アールト: どうもどうも、アールトでいいよ!「様」なんて呼ばれる柄じゃないし、ハハ……

シグリカ: あの、わたし、ロイ人なんです!学園は私たちにすごく良くしてくれてますし、わたしたちも学園と協力して世界に貢献してるんです!

シグリカ: そうだ!ラベル学部にもロイ人の先輩がたくさんいて、みんなすごく活躍してるんですよ!

アールト: え?ああ……うん。

ドリアン: アールト様!農学部のドリアンです!フルニュートリションわくわくゼリーと農学部特製の自熱式カップ麺をお持ちしました!

アールト: カップ麺……?あ、ありがとう。とりあえず「様」はやめてくれ、アールトで……

ミーシャ: アールト様!エクソストライダー工学部のミーシャです!私の研究成果は持ち込めなかったので、代わりに歌を歌います!

ネビン: 審査官様!僕はヴォイドマター学部の者です!歓迎のダンスを披露します!

リンネー: じゃああたしは、審査官様のバイクを最高の状態にチューンナップしたげる!

ルシラー: ――アールト審査官!

ルシラー: ご紹介します。こちらはラベル学部の漂泊者君です。本日は彼と私で、ご案内させていただきます。

漂泊者:

アールト: おや、漂泊者……?長すぎず、短すぎず、いい名前だねぇ!

アールト: ……で、どうする?俺たちは「知り合い」って設定でいくか、それとも赤の他人でいくか?

漂泊者: 知り合いでもいいが、馴れ馴れしくしないようにな。

アールト: ……了解っと。

ルシラー: それでは、さっそくラベル学部に参りましょう。途中で学園の施設についても、ご説明いたします。

アールト: そうか、案内を頼むよ。

ルシラー: あの子たちが付いてこないように、ここで足止めしてちょうだい。後で学部の校舎で落ち合いましょう。

漂泊者: 分かった。

学生たちに危機のことを尋ねる

漂泊者: ……いったい、何があったんだ?

リンネー: 漂泊者君、知らないの?ラベル学部が取締役会に取り潰されるって、学生の間ですごい噂だよ。

シグリカ: 違う違う、学部全体じゃなくて「適格者」たちだよ!最近、「ロイ人文化史」の代理の先生がこっそり教えてくれたの。コレクティブが、適格者を全員退学させる準備をしてるって!

リンネー: 一番有力なのは、ラベル学部だけで予算の3分の2も食ってるから、コレクティブの出資者たちが激怒してるって説。

リンネー: まあ、出資者って言っても、主にネオユニオンのことだけどね。正直、やりかねないと思ってたし、驚きはしないかな。

漂泊者: 千咲はどうだ?どこで聞いた?

千咲(ちさ): 私、ですか?実はあまり状況が飲み込めていなくて……ただ、手伝いに来ただけなんです。

漂泊者: (……みんなして又聞またぎきなんてな)

漂泊者:

リンネー: ……その可能性は高いよ。だって適格者が選抜されたのは、そもそも「エクソストライダーを動かすため」だもん。

シグリカ: でも、適格者の先輩たちはあんなに優秀なのに!たとえエクソストライダーを操縦できなくなったとしても……っ。

リンネー: 「使えるものは使う、使えないものは捨てる」……ネオユニオンのやり方は、今に始まったことじゃないよ。

漂泊者: (おそらく、事態はそう単純じゃないな)

千咲(ちさ): 私も不思議です。ルシラー先生が漂泊者さんだけを呼んだということは……事態はそれほど深刻ではないんでしょうか?

シグリカ: わたしは逆に、先輩をわざわざ呼んだってことは、大ピンチな気がするんだけど……

リンネー: 実は、あのアールトって審査官、ネオユニオンの裏社会じゃ結構有名なんだ……「情報屋」としてね。

リンネー: 今回は協力の話じゃないの……?なんでブラックショアが、よりによって「あの人」を寄越したんだろ?

漂泊者: (……やっぱりラベル学部に行って、詳しく事情を探る必要があるな)

漂泊者:

漂泊者: 後は俺と学園長に任せて、みんなは先に戻ってくれ。

リンネー: うん、とにかく……何かあったらいつでも呼んで!適格者たちが退学させられるところを黙って見てるなんて嫌だからね!

シグリカ: 先輩、どうかお願い!

千咲(ちさ): 私からも、お願いします!

漂泊者:

ラベル学部に向かう

モーニエの授業を聞く

ルシラー: 外因性共鳴の訓練だけではなく、適格者たちへの一般教養も重要視しています。こちらはモーニエ教授です、『シンビオーシス兵器装備学』という授業を担当しています。

ルシラー: アールト審査官、学生のプロジェクトを見る前に、少し授業を聞いていかれませんか?

アールト: そうしようかな。

モーニエ: 皆さん、前回の授業ではルール方程式が第二類シンビオーシス兵器のスペクトルで普遍的に成り立っていることを証明しました。本日は、そのチューニング安定定数を導き出したいと思います。

モーニエ: 理弦リーシエンさん、前回の授業で導き出したルール方程式を黒板に書いてください。

理弦(リーシエン): わ……分かりました。

モーニエ: その間に、少し復習をしましょう。ワレオ君、実験室の環境下でシンビオーシス兵器のチューニング安定性を測定する基本媒質は何ですか?

ワレオ: えっと……ニ、ニッケル……

モーニエ: そうですね……ニッケルはいい選択肢かもしれません。ですが、実験室の環境下ではニッケルは安定性を保つのが難しいため、一般的には使用しないでしょう。

モーニエ: ではソニアさん、実験室の環境下でシンビオーシス兵器のチューニング安定性を測定する基本媒質は何ですか?

ソニア: ニ……ニ、ニュートリションわくわくゼリー……

モーニエ: ふむ、わくわくゼリーですか……どうやら前回の授業で進みが早すぎたせいか、皆さんまだ理解できていないようですね。

モーニエ: 大丈夫です、しっかりしてください。理弦リーシエンさんの板書を……

ルシラー: アールト審査官、こちらは本学園の「睡眠学習法」になります。

アールト: おぉ、なるほど!コホン、次を見に行きたいんだが……

ルシラー: もちろんです。

漂泊者:

ルシラー: 次にご案内するのは、外因性共鳴に基づいて適格者の学生たちがデザインしたものです。

ルシラー: 特に今回お見せする無人乗り物は、多くの分野に応用でき……

TARD-Eユニット: 欠席者数、8名。クラウドに同期完了。

ルシラー: あの子たち……約束もしっかり守ってくれないだなんて。

アールト: これはどういう状況だ?

漂泊者: 学生が授業をサボったらしいな。

アールト: あはは、ルシラー学園長、来るのが少し早かったのかもしれない。ここは別の場所を見に行こうか?そうだ、この学園の食堂が気になってるんだが……!

ルシラー: ふぅ……申し訳ありません、アールト審査官。私たちに不備があるにもかかわらず、場を和ませようと……

ルシラー: 何を隠しましょう、ご覧の通り、スペーストレック・コレクティブ関連の論争が、学生たちにも影響を及ぼしているのです。

ルシラー: 学園が今まで以上に支援を欲しがっている証拠です。

漂泊者:

漂泊者: (何とかなりそうか?)

アールト: (どうだろうな……)

漂泊者: (不用意に介入すると、ショアキーパーに迷惑をかけるかもしれない。ここは様子を見よう)

アールト: ルシラー学園長の希望は分かってるよ。俺がここに来たのも……

ルシラー: アールト審査官、今夜、新しい予定を入れるのはいかがでしょうか。何か気になる点があれば、その際にでも。

アールト: えっと、そうしようかな。

ルシラー: 漂泊者君、アールト審査官と食堂に行くわ。モーニエ教授のほうは頼んだわよ。

アールト: (ウェーブ――ライン――で――)

ラベル学部を出て、広場に向かう

アールトからのメッセージを読む

アールトと合流する

アールト: お疲れ様、こんなに質の悪い食事が出る環境で仕事をしてるとは思わなかった。

漂泊者:

アールト: 歯磨き粉みたいなものを食べた瞬間、ここの食べ物はやばいって気づいたんだ。でも突然、大勢の学生たちに囲まれて、あれこれ食べさせられてな。

アールト: はぁ、地獄だったよ。

アールト: アンコは「もう学校に行かなくてもいい歳だから」とか言って、どうしても付いてこなかったんだ。

アールト: まぁ大丈夫さ。ルシラー学園長に頼んで、「学校に行かなくてもいい歳」にピッタリの練習問題をもらっておいたからな、ふふっ!

漂泊者:

アールト: 簡単に言うと、エクソストライダーが消えたことで、適格者計画は中止されることになるんだが……適格者の後処理に関して、双方の意見が割れてるんだ。いや、ルシラー学園長の意見が、ほかの人たちと異なると言ったほうが正しいか。

アールト: ネオユニオンを始めとする多くの取締役は、ただちに適格者の教育を停止して、新たな案について議論するよう求めてるのさ。

アールト: 取締役会のハト派は、自国の適格者が他学部に転入、もしくは帰国に充分な支援をもらえれば、ほかの事務には干渉しない態度でいる。

漂泊者: ルシラーの意見は?

アールト: 彼女は適格者計画の続行を望んでいる。

漂泊者: 続行?

アールト: 俺たちも困惑してるんだ。漂泊者、ルシラーのことは、どれくらい知ってるんだ?

漂泊者:

アールト: ふむ、そうか。

アールト: そうか……君もよく知らないんだな。

アールト: 漂泊者、正直に言うと……ブラックショアは現状、ルシラーを信じ切れていない。

アールト: 彼女の主張もそうだし、ネオユニオンと切っても切れない関係性を持ってる。加えて、明らかに隠し事をしてるだろう?何も知らないまま彼女を助けるのは、ブラックショアにとって利がない。

アールト: ――これが、理性に基づいて俺たちが出した判断だ。

アールト: けどな、スタートーチ学園出身の花持ちが学園の状況について知ったら、みんなショアキーパーのところに行って、「ルシラー学園長のことは自分たちが保証する」って言い出してさ。ショアキーパーは彼らの行動を見て、考えを変えたみたいだ。

アールト: 羨ましいぜ、学生からあんな風に信頼してもらえるなんてな。

漂泊者: どうやってアールトに協力すればいいんだ?

アールト: いやいや、君にこそブラックショアの本当の審査官になってもらいたいって、ショアキーパーが言ってたんだ。

アールト: ルシラーを信じていいのか、いったい何を計画してるのか……学生と秘密の審査官という、二重の身分を持つ君に探ってもらいたいそうだ。

漂泊者: (適格者たちは助けてやりたいが、ブラックショアのことも考えないといけないな。ルシラーが学生に危害を加えるようなことはしないだろうが、それでも……)

漂泊者: 分かった、アールトに協力しよう。

アールト: 俺が君に協力する、だろう?とにかく、計画を立てないとな……

エイメス: 計画なんて、そんなに複雑に考える必要あるの?

アールト: なっ!どうなってるんだ?

エイメス: アールトのリーダー~~~エクソストライダー計画に投資する千載一遇のチャンスよ。私たちブラックショアなら、これくらいの数を出さなくちゃ!

エイメス: そうね、コレクティブの取締役会に通じる通信路を作ってくれてもいいわ。議論には私が参加するから。

アールト: これがエイメスさんか?ブラックショアのデバイスにまで侵入できるなんて!?

漂泊者:

エイメス: コホン、別にふざけてないわ――適格者の学位が取り消されたら、私の最高学位がロイ一族の幼年教育になっちゃうの!

エイメス: それに――ラベル学部を守るだけなら簡単だわ。チェイスかショアキーパーに頼めば、いくらでも方法があるはずよ。コレクティブの出資者がアレフ1ほどしぶといわけないもの。

エイメス: あなたがコレクティブのためにやったことを彼らが重視してくれなくても、単純にあなたを味方にしようとするために、提案を真剣に検討すると思うし。

漂泊者:

漂泊者: 組織の力を借りると、誰かに牽制される恐れがある。俺の経験から言えば、ここは個人で動いたほうがいい。

漂泊者: 「救世主」を自分の職業に決めたエイメスなら、俺の言いたいことは分かるだろう?

エイメス: うん……そうね。でも、あなたの考え、ちょっと古くない?

漂泊者: (とりあえずルシラーの考えを明らかにしつつ、臨機応変に動こう)

漂泊者: 俺の助けが間に合わない場合でも、コレクティブには適格者を守ってほしい。だから、今回だけはコレクティブのルールに従って、みんなの未来を決めないといけないんだ。

漂泊者: 俺とルシラーを信じてくれ、最善を尽くすと約束する。

エイメス: ふふっ!分かった、もちろん信じてるわ。でも先に言っておくけど、私の学籍が取り消されでもしたら、スペーストレック・コレクティブの名前をエイメス・コレクティブに変えさせてもらうから!

アールト: 実際、エイメスさんの力を借りれば、ルシラー学園長はもっと余裕を持てるだろう。

漂泊者: さっきエイメスが言ってたように、彼女自身も適格者だ。なら、彼女もルシラーが守らなければならない対象の一人。

アールト: そうだな。でも、俺たちに残された時間は、予想よりも少ない。

アールト: リンクドスパインの駅で、ネオユニオンから来た連中を見かけたんだ。それで急いでバイクで来ることにしたんだが、おそらく奴らもすぐに動くはずさ。

アールト: ルシラーが手配したスケジュールより前に、近くで調査をしようか。

アールトと一緒に調査する

アールト: 学生たちが屋台を出してるなんて、いい雰囲気の学園だな!

アールト: おっ、あれは授業で寝てた学生じゃないか。見に行ってみよう。

理弦(リーシエン): このバカ弟が、放してよ!

理恒(リーホン): いやだ!

千咲(ちさ): 先輩たち、喧嘩はやめてください。私は別の屋台のところに行きますから。

理弦(リーシエン): え、待って。一目でこれの価値が分かるなんて、物を見る目がある証拠だよ。よかったら、あなたに売りたいんだけど。

理恒(リーホン): 売るなって!彼女はプレップの学生だぞ、物を見る目なんてあるわけないだろ!

理弦(リーシエン): この……口の利き方に気をつけなさい!……もう、後で説教してやるんだから!

千咲(ちさ): すみません、実は私、よく分からないんです。ただ、この「目」解弦の眼には見えるんです。装置の内部構造は、とても精巧に作られています。

千咲(ちさ): 外はもちろん、作りも配線も精密にデザインされているのが分かります。これには……きっとたくさんの心血が注がれているんでしょう。

理弦(リーシエン): ……この屋台で一番よくできてる、そうでしょう?

千咲(ちさ): ええ、最高です!

理弦(リーシエン): ありがとう。その言葉は、私にとって本当に、本当に大事なの。今日は募金活動中だからダメだけど、そのまま贈りたいくらいだよ。どうかな、2割引きで売ってあげる!

理恒(リーホン): 姉さん、6年だぞ!それを売ったら、今度こそ何も残らなくなるって!

理弦(リーシエン): 「何も残らなくなる」って?理恒リーホン、「何も残らない」ことをどうやって定義するつもり?

理弦(リーシエン): 「過去に何も成せなかった」、そして「将来何も持ち合わせていない」ことの共通部分が、「何も残らない」ことになる。

理弦(リーシエン): 理恒リーホン……周りを、私たち適格者を見て。一番多くの資源を持ちながら、エクソストライダーに選ばれることもなく、立派な実績も何ひとつ作れなかった……ただの負け犬でしかない。

理弦(リーシエン): こんな私たちが、本当に必要としてる後輩を支援するんじゃなくて、自分のつまらないものを大事そうに取っておいたら、それこそ適格者には何も残らなくなる。

理恒(リーホン): 姉さんが誰かを支援するのはいいけど、じゃあ誰が姉さんを支援してくれるんだよ?!

ルシラー: 私よ、私が支援するわ。

ルシラー: 何も成せなかった?あなたたちの作品が公正な目で見られるまで、誰であろうと勝手に決めつけることは許さないわ。

ルシラー: 何も持ち合わせていない?私がいるでしょう。

ルシラー: たとえ世界に見捨てられたとしても……私が、ルシラーが、スタートーチ学園の学園長が、いつまでもみんなの味方でいるわ。今までと同じように、これからも。

ルシラー: あっ、ついでに言っておくと、ついさっき大口のスポンサーを見つけたわ。明日にでも新しい研究基金が届くはずよ。

理弦(リーシエン): ということは……

ルシラー: ということで、早く屋台を片付けてちょうだい。売るのはまだ早いわ。

学生たち: やった!学園長万歳!

シグリカ: アールト様、スポンサーってアールト様のことですよね!

アールト: えっ?あー、それは……

学生たち: アールト様、本当にありがとうございます!アールト様、万歳!

ルシラー: ……あのクソハムスター!火事場泥棒みたいに足元を見るなんて!ここを叩き売りのバーゲン会場か何かだと思ってるの!?

ルシラー: 厄介なパートナーと「些細な」意見の食い違いがあっただけ……

漂泊者: (半日で話がついたのか?相当妥協したんだろうな……)

漂泊者:

ルシラー: ありがとう。でも、学生に気を遣ってもらってたら、先生失格よ。

ルシラー: ここは何も言わないでちょうだい。

ルシラー: うちの子たち、本当に可愛いでしょう。そう思わないかしら?

理弦(リーシエン): 先生、すみません……私たちがいけなかったんです。

ルシラー: 自分の生活を守る決意に罪はないわ。みんなは私よりも勇気がある。

ルシラー: 理弦リーシエンさんやみんなの探求心には、今よりも大きな舞台が相応しいわ。

ルシラー: それを大切にすることね。

理弦(リーシエン): はい!

ルシラー: それと、弟にはもっと優しくしてあげて。それ以上殴ると、頭が悪くなってしまうわよ。

理弦(リーシエン): うぅ……先生、もうひとつ、伝えなければならないことがあるんです。

ルシラー: ライニーたちが授業をサボったことでしょう。もう知ってるわ。

ルシラー: アールト審査官、今夜の特別スケジュールに移りましょうか。

アールト: 分かった!

学生たちの秘密基地を探す

学生たちの秘密基地に入る

ルシラー: なるほど、新聞室をラボとして使ってるのね。

ルシラー: なかなかやるじゃない。

秘密基地を探索する

ルシラー: ライニーさん、私は今とっても悲しいの。だって、約束をしたでしょう?

ライニー: 「適格者が学生サークルでの成果を見せる」というのが約束の内容ですよね?あんなスクラップだけで、出資者の考えを変えられると思ってるんですか?

ライニー: これこそ成果ですよ!

ライニー: この全地形自走砲には、人工知能が搭載されたマルチモーダルアクティブディフェンスシステムが組み込まれてます。何よりこいつは、完全に外因性共鳴で操縦できるし、全周波帯の電波障害を受けないようになってるんです!

ライニー: たとえ天空海に落ちたとしても、あたしが溺れ死なない限り操縦できます!

ライニー: 審査官さん!

アールト: お、おう!

ライニー: あなたたちが適格者の研究を今まで通り支援してくれたら、1年……いや、半年もあれば、このメカスカウトを量産できますよ。

アールト: 量産だって!?

ライニー: 疑うのも無理はないです。今お見せするんで!

アールト: いやいや、見せてもらったところでな。俺たちブラックショアは、傭兵組織じゃないし……

ライニー: 残像ざんぞうを倒すにも、もってこいですから!

漂泊者:

ルシラー: 私に任せてちょうだい。

ルシラー: 任せて。

ルシラー: ライニーさん、射撃統制システムを切って、試運転してみてちょうだい。

ルシラー: 気をつけて。

ライニー: 起動!

漂泊者: (この戦車、なんだか様子が……?)

漂泊者: ……ッ、危ない!

敵を倒す

ルシラー: 大丈夫?

負傷したサークルメンバー: すみません先生、すみませんアールト審査官、すみませんライニー部長。俺、しくじりました……本当にすみません……

ルシラー: N.A.N.A.、リューク先生に怪我をした子たちを診てもらってちょうだい。

ルシラー: ライニー、体は?

ライニー: …………

ルシラー: あなたも医療課で治療を受けなさい。ここは私が片付けるわ。

ライニー: …………

漂泊者:

アールト: そうだな。ライニーさん、俺は決して慰めや建前を言ってるわけじゃない。共鳴によって精密な機械をコントロールするのは、確かに君たち適格者ならではの力だ。

アールト: その技術には、大いにポテンシャルがあるだろう。コホン……特に、付けられてる恐ろしい兵器を取ってからな……

ライニー: でも、時間が……

ルシラー: 時間ならたくさんあるわ。ここ数日、私は新たなパートナーに連絡を取っていたの。私たちの味方をしてくれる人は、決して少なくない。

ライニー: 「我々がここに来たのは、文明の進む方向を見出すため」

ライニー: 「スタートーチ学園は適格者の揺り籠となり、我々の希望の担い手になる」

ライニー: 入学許可書には、そう書いてありました。あたしだって、同じ想いを胸に抱いて、ここに来たんです。

ライニー: 自分が適格者という集団の千分の一に過ぎないことも、エクソストライダーのパーツにすら及ばないことも、文明が生み出した従属物だってことも知ってます。それでも、あたしは一度だって後悔してません。

ライニー: 「文明の進む方向を見出すため」……はっ。

ライニー&謎の少女?: ライニー:先生、エクソストライダーがなくなったら、誰もあたしたちのことを気にかけてくれないんですか? 謎の少女?:先生、エクソストライダーがなくなったら、誰も私たちのことを気にかけてくれないんですか?

ルシラー: 私がいるわ。

ライニー: 先生……先生……

アールト: この件を俺は軽く捉え過ぎてたようだ。学生たちのクラスを変えるくらい、簡単なことだと思ってたぜ。

アールト: 今なら理解できた。この子たちは「適格者」という名の特権を求めてるわけじゃなくて、「適格者」という名の使命を守ろうとしてるんだな。

漂泊者:

アールト: だからこそルシラー学園長は、どうしても適格者計画を続行させようとしてるわけだ。気持ちの面では、よーく理解できるが……

アールト: ただ、それだけじゃ審査会の連中は納得しないだろう。それに、エクソストライダーがなくなった今、適格者計画を続行させるのは確かに損だ……

漂泊者: 学園はみんなの力があったおかげで築かれてきた。各国の支援や無数の人々の心血こそ、この「象牙ぞうげの塔」のいしずえであり、適格者の使命の礎でもある。

漂泊者: もし適格者計画から実質的な見返りがなければ、審査会には計画の妥当性を疑う権利も、納得のいく説明を求める権利もあるだろう。

アールト: そうだな。感情的な理由ばかり並べても、審査会の連中は納得しないだろう。それに、エクソストライダーがなくなった今、適格者計画を続行させるのは確かに損だ……

漂泊者: ルシラーがそんなに感情的な人間だとは俺も思わない。確実に何か計画を隠してるんだろう。

アールト: 協力を求めているものの、俺たちを完全には信頼していない、か……それとも、何か事情があるのかな。

アールト: ここは君に任せるしかないな、漂泊者……秘密の審査官様!

ルシラー: 申し訳ありませんでした、不測の事態ばかり起きてしまい……

アールト: いや、とても収穫のある一日だったよ。今日出会った適格者のみんなには、本当に驚かされてばかりだ。ところで、ライニーさんは大丈夫そうかな?

ルシラー: ええ、大丈夫でしょう。リューク先生が医療課まで連れていってくれますから。時間も遅くなりましたし、休める場所までご案内します。

アールト: 大丈夫大丈夫。寮なら昼頃、リューク先生に案内してもらったから、道は覚えてるよ。ルシラー学園長こそ、あまり顔色が芳しくないね。漂泊者「さん」、学園長を送っていったらどうだ?

ルシラー: ええ、分かりました。では、また明日お会いしましょう。

学生基地から出発する

ルシラーの散歩に付き合う

ルシラー: 帰って休む前に、レクチャーホールへ行きたいんだけど、付いてきてくれないかしら?

漂泊者: いいだろう。

レクチャーホールに向かう

ルシラーと一緒に行く

ルシラー: *疲れた様子のあくび*

漂泊者: もう何日寝てないんだ?

ルシラー: 忘れたわ。

漂泊者: ご飯は?

ルシラー: それならしっかり食べてるわ、ふふっ。

ルシラー: そういえば、ブラックショアの気候はどうなってるのかしら?

漂泊者: そうだな……比較的、安定してるほうだろうか。

ルシラー: 食べ物は?

漂泊者: 学園よりはマシだと思う。

ルシラー: 少しマシな程度?

ルシラー: はぁ、教え子からたまに手紙をもらうのだけど、ブラックショアに行った学生から届く数が一番少ないのよ。来たとしても、日常の話は書いてないわ。

ルシラー: いきなり通信が入ったかと思えば、「先生、ちょっとお聞きしたいことがあるんですが……」なんて具合でね。

ルシラー: 本当に困った子たちだわ……まぁ、無事なら何よりだけれど。

ルシラーと会話する

ルシラー: それで、いつ始める気かしら?

漂泊者: 何を?

ルシラー: 私に鎌をかけようとしてるんでしょう?アールト審査官に頼まれて。

漂泊者:

漂泊者: こんなに遠回りしなくても良かったのに。

ルシラー: 漂泊者君、あなたは私のために、ブラックショアという対悲鳴組織に掟を破らせ、大国同士の政治争いに巻き込ませるようなことはしてくれるかしら?

漂泊者: ……

ルシラー: 昨日、私は自分に聞いてみたの。あなたのことを本当に知っているのか、と。残念ながら、肯定的な答えは出なかったわ。それに、あなたにはどんな身分で介入してもらうべきか迷ってる……

ルシラー: 気高くもなければ、正義も存在しない、この商人と政治家だけのつまらない利益の議論の渦に。

ルシラー: 少なくとも、これはスタートーチ学園とブラックショア双方が築いた協力関係だと思ってるわ。私たち二人の間柄を抜きにしても。

ルシラー: あなたに直接見てもらいたくて、遠回りをしてきたの。私から話を打ち明けた時、その場ですぐに協力すると言ってほしくないから。

ルシラー: 自分の目で見て判断して、心の定規で測ってから、ブラックショアの仲間たちに伝えてほしかった。

ルシラー: ルシラーは信頼に値する人なのか、適格者たちは支援する価値がある集団なのかを。

アールト: 漂泊者、まだルシラー学園長と一緒にいるか?

アールト: ルシラー学園長が支援者と連絡を取っていることがネオユニオン側に勘付かれて、審査会が早められたんだ。

漂泊者: いつになったんだ?

アールト: 明日の朝……正確には、3時間半後。

ルシラー: ふっ、典型的なネオユニオンの手口ね。おそらく、とっくにラハイロイの近くに審査団を手配して、ブラックショアの到着を待っていたんでしょう。

漂泊者: こんな短時間でほかの加盟国を説得し、代表たちを集めたのか?

ルシラー: コレクティブの予算案規定に従えば、半数を超えるメンバーが棄権すると、常任の取締役と交代主席の座にいるネオユニオンが権利を得ることができる。

ルシラー: 「審査会」から案が出る前から、おそらく用意していたんでしょうね……

アールト: 準備を急いだほうがいい、ルシラー学園長。審査会については、臨機応変にな。

ルシラー: 3時間半ね……余裕よ。

ルシラー: 行きましょ、漂泊者君。

漂泊者: どこへ?

ルシラー: 学園見学、後半戦よ。

レクチャーホールの裏側に入る

エレベーターに入る

ルシラー: 思うところがあるでしょう?

漂泊者: ずっとルシラーの計画に従ってたことに対して?それとも、今も隠し事をされてるからか?

ルシラー: それは……

ルシラー: ごめんなさい、私の強がりだとでも思ってちょうだい。一応、あなたも私の学生だもの。

漂泊者: じゃあ、今度は安心して観衆になれるんだな?

ルシラー: ふふっ、あなたにとっても珍しい経験のはずよ。きっとね?

漂泊者: ラベル学部の地下に、こんな場所があるなんて……

ルシラー: ここはサンダーミールの基地が建てられる前に、外因性共鳴とヴォイドストーム対策の研究に使われてた研究所よ。今は使用を停止しているけどね。

ルシラー: 取締役会から自由に使っていいって言われたのよ。だから自分の能力で、少し改造したわ。

ルシラー: 私の頭の中にしか存在しなかった、学生たちに関する抽象的な断片が、ここでは具体的な展示品となってるの。

ルシラー: まだ時間はあるから、興味があるなら好きに回っても構わないわ。

漂泊者: ここは全部、あなたの能力の影響を受けた状態なのか?改造には、どれくらいかかったんだ?

ルシラー: 学園に残った人も、離れていった人も、ここで過ごしたことに意味を持てるようになるなら、どれだけ時間を費やしてもいいと思ってるわ。

展示品を調べる

ルシラー: 探している展示品は、ここよ。

漂泊者: えっ、壁の後ろに?

ルシラー: 忘れないでちょうだい、ここは私の「記憶の宮殿」よ。記憶の「錠」は、記憶の「鍵」でしか開けられない。

ルシラー: 見せてあげるわ――この空間でしか発動できない、とっておきよ。

通路を開く

コアエリアに向かう

漂泊者: これは?

ルシラー: この展示品……これこそ、私がここを作った理由よ。

謎の少女?: 先生は……私のこと、信じてくれますか?

ルシラー: 私は……

漂泊者: ルシラー……?

漂泊者: 少し上の空だったが、大丈夫か?

ルシラー: ……ええ、平気よ。ほんの数秒、夢を見ていたわ。何だか不思議な感覚ね。

漂泊者: 審査会の前に、少し休んでおいたほうがいいんじゃないか?

ルシラー: 安心して。この会議が終わったら、泥のように眠るつもりだから。でも今は……展示品を持ち出すのが最優先よ。

漂泊者: これで本当に彼らを説得できるのか?

ルシラー: ……

漂泊者: (ルシラーは説得の手立てを持ってるようだが……なぜ、ずっとためらってるんだ?)

ルシラー: ……信じてくれてありがとう。聞きたいことが山ほどあるのは分かってるわ。

ルシラー: どうやってネオユニオンを説得するつもりなのか。エクソストライダーを失った今、適格者たちのために探している「次の使命」とは何なのか……ごめんなさい、今は答えられないの。

漂泊者: あなたが学生を傷つけるようなことはしないと分かってる。それだけで充分だ。

ルシラー: 私は……いえ、まだ話すべき時じゃないわ、漂泊者君。

ルシラー: とにかく、まずはこの二つの展示品を持って行って、それから……

謎の少女?: また後で、先生。

漂泊者: 何かの力で転移させられたみたいだな。ここに見覚えは?

ルシラー: 記憶が正しければ……さっきの場所の真下ね。

ルシラー: こっちよ。

研究区を調べる

漂泊者: 適格者のコックピットか?これは、プロトタイプ……?

ルシラー: よく似ているけど、これは非常用の「プランB」よ。リミッターを外して神経系を過剰に刺激し、短時間で同調率を跳ね上げる……搭乗者の身を削って、強制的にエクソストライダーを駆動させるための代物。

漂泊者: ……

ルシラー: 言いたいことは分かるわ。でも、このプランは元々「文明存亡の危機」に備えて用意された最終手段だったの。実際、数回だけ実験して、中止が発表されたわ。

ルシラー: もっとも、実験に参加した適格者たちは……二度とエクソストライダーと共鳴できなくなってしまったけれど。

ルシラー: この状況は……あの時とよく似ているわ。

ルシラー: 今度こそ、うまくいくかしら。

漂泊者: どうやってここから出るんだ?

ルシラー: 周囲を探してみて。脱出の「写真」は、この近くにあるはずよ。

部屋内で手がかりを探す

ここから出る方法を探す

このまま進む

ルシラー: 一を聞いて十を知る……賢い教え子ね。

漂泊者: 一体どうなってるんだ?

ルシラー: あら、さすがにまずそうかしら?

漂泊者: ルシラー……

ルシラー: はいはい、冗談よ。そんなに怖い顔してると、あなたが審査を受けるのかと勘違いされるわよ?落ち着いて、出口なら分かっているわ。

ルシラー: 裏学園に入る前に話した内容は覚えてる?定期的に記憶の一部を消去していること、失われた記憶は二度と戻らないこと。

ルシラー: 思い出したくもないけれど、忘れてもない記憶は……こうして奥底にしまっておくのよ。でも、どうやら制御不能になったようね……

ルシラー: 漂泊者君、出口は真上よ。そこで写真を使えば脱出できるわ。でも、あそこへ行くには、あなたの助けが必要なの。

ルシラー: ここのすべては私の記憶から生まれたものだけど、あなたが本物だってことは分かってるわ。あなたのいる場所が、現実になる。

漂泊者: 分かった、俺が学園長の道標になる……でも、あの少女はどうする気だ?放っておくのか?

ルシラー: 漂泊者君、子守りの経験はあるかしら?ひとつ、ヒントをあげるわ。かくれんぼをしてる子どもは、どういう時に焦ると思う?

漂泊者: ……なるほど、そういうことか。

ルシラー: 行きましょう。審査会前のウォーミングアップだと思って、付き合ってちょうだい。

引き続き前へ進む

ルシラー: ここは「対ヴォイドマター材料研究室」よ。学園の「ヴォイドマターバリア」を構築する材料は、この部屋で生まれているわ。

漂泊者: 真ん中にあるのは?

ルシラー: 毎日出る廃棄物よ。リサイクルが追いつかないほど、山のように出るの。

ルシラー: ……手がかりがないか、見て回りましょう。

部屋内で手がかりを探す

漂泊者: (写真を見つけた。これを適切な場所に映し出さないとな)

このまま進む

漂泊者: 人工の溯洄雨そかいあめか?

ルシラー: そんな大それたこと、私にはできないわ。姿を似せた模型よ。

ルシラー: ……過負荷実験に参加した適格者の中に、「今州こんしゅう」出身の子がいてね。エクソストライダーと共鳴する力を失ってから、彼は故郷に帰って「天工部」の防事科に入ったのよ。

ルシラー: そこで彼は、溯洄雨そかいあめバリアの開発に加わったわ。

漂泊者: まさか、溯洄雨そかいあめバリアとヴォイドマターバリアの起源が同じだったなんてな。

ルシラー: ……そうは言い切れないわ。どう言おうかしら……彼の案にはヴォイドストームを防ぐ効果がなくて、早々に不採用になったの。

ルシラー: 故郷へ帰る前、彼が唯一持ち出しを申請したのは……廃棄物の山の下敷きになっていた、数枚のパネルだけだったわ。

ルシラー: あれは、ただ諦めきれなかっただけなのか……それとも最初から、溯洄雨そかいあめバリアに応用できると考えていたのかしら?

漂泊者: ここに俺たちを閉じ込めた少女は、この記憶を通して何かを伝えたいみたいだな。

ルシラー: はぁ……最近どうも、学生たちに教えられてばかりな気がするわ。

ルシラー: 行きましょう、次の「教室」へ。

漂泊者: 少し休まないか?

ルシラー: まだ大丈夫よ。

漂泊者: 本当に不思議な能力だな。

ルシラー: 残念だけど、ネオユニオンでは能力の評価に「不思議」なんて言葉を使わないのよ……

撮影スポットに向かう

ルシラー: ……

漂泊者: 大丈夫か?

ルシラー: ……私から離れないで、漂泊者君。これは、私にとって最悪の記憶なの。

ルシラー: ここは迷いやすいわ……

漂泊者: バリアのせいで、通れそうにないな。

ルシラー: んー……いい考えがあるわ。

ルシラー: 漂泊者君、ちょっと協力してくれる?

ルシラー: 漂泊者君、もう少しそっちに立ってくれる?

漂泊者: ……ん?

漂泊者:

漂泊者: ここか?

ルシラー: もう少し前……?

漂泊者:

ルシラー: そうね……やっぱり、後ろかしら?

漂泊者:

ルシラー: はい、これでラストよ。笑ってちょうだい。

漂泊者:

漂泊者: ……ははっ。

ルシラーにあなたに能力を使わせる

ルシラー: もしかして……「写真写りが悪い」って言われたことはない?

漂泊者: 今ルシラーに言われた。

ルシラー: 冗談は終わりよ。この写真があれば……

メッセージを読む

デバイスをハッキングする

デバイス: 緊急モードに移行しました。パスキーを入力してください。

漂泊者:

デバイス: パスキー認証に失敗しました。

漂泊者: 少し休まないか?

ルシラー: まだ大丈夫よ。

共鳴解放でデバイスを破壊する

ルシラー: ここの設備を壊したら、修理費は私の自腹なのよね……

ルシラー: できれば、お手柔らかに頼むわ。

このまま進む

回想の中の医師: マダム、間違いございません。お嬢様は病気ではなく、「共鳴能力」に覚醒したのです。しかも極めて稀な、記憶操作に関する能力を。

回想の中の医師: おめでとうございます。彼女は将来、必ずやネオユニオンに多大な貢献をすることでしょう。

敵を倒す

漂泊者: ルシラー……?

漂泊者: しまった。

漂泊者: (「道標」である俺を見失って、ルシラーは自分の記憶に囚われてしまったのかもしれない。急いで見つけないと!)

ルシラーに関する情報を調べる

メッセージを読む

漂泊者:

???: ねえ、聞いているの、ルシラー。

ルシラー?: ええ。

???: 返事は?

ルシラー?: ……どう答えれば?

???: 「はい」か「分かりました」とでも答えればいいの。

???: これ以上の好機はないわよ。ライバルたちが手一杯になっている今こそ、私たちで主導権を握るチャンス……あなたが学園長になった時と同じように。

???: 世間の目なんて気にしなくていいわ。汚れ役は私たちが引き受ける。あなたは強硬きょうこうな姿勢を見せ、第三者の審査官を引き入れ……最後に私たちが審査会を開く。

???: あなたがもっともらしい理屈を並べて反論し、私たちが懸念を示して、互いに一歩譲る……最終的に、適格者の育成計画を私たちが主導する形になれば、それで充分よ。

ルシラー?: ……私の学生たちを、どうするつもりかしら?

???: 「需要と供給」が一致しただけのことよ。才能ある学生に、私たちは理想を叶える手助けをする。あくまで、本人の意思に基づいて。

ルシラー?: 本人の意思……?それで叶えられるのは、いったい「誰の理想」でしょうね?

???: 選択権は完全にあの子たちにあるわ、ルシラー「ちゃん」。過去の選択をとやかく言うつもりはないけれど……今日に至るまで、あなたの意思を無視したことなんて、一度でもあったかしら?

ルシラー?: 断るわ。

???: そう、いいわ。強硬きょうこうな態度で、理屈を並べて反論しなさい。そして、審査会でこちらの譲歩じょうほを待てばいいだけ……

ルシラー?: 学校から先駆条約へ、先駆条約からコレクティブへ……そして、ここへ。これじゃあ、まともな学園長になれるわけないわね。

ルシラー: 気をつけて。あれは「裏学園」の中の「私」……この記憶を使って、彼女を閉じ込めていたの。

ルシラー?: いつになったら、彼に打ち明けるつもり?……ルシラー学園長、あなたがとっくにネオユニオンと手を組んでいることを。

ルシラー: ……行きましょう。

ルシラー?: 逃げられると思っているのかしら、ルシラー?

漂泊者:

漂泊者: 学園長の計画は、結局ネオユニオンの筋書き通りに演じることなのか?

ルシラー: ……彼女の言葉に惑わされないで。私が自分の学生を売るわけないでしょう?私には考えがあるの、ただ……

漂泊者: 会議が始まる前に、少し時間を取ってくれ。計画を聞かせてほしい。

ルシラー: ありがとう。ネオユニオンには、指一本触れさせやしない。ただ……

ルシラー?: それは彼女の独りよがりな妄想に過ぎないわ。ろうの翼で空へ挑み、火に飛び込むと同じよ。

ルシラー?: あなたの学生は、あなたのせいで死ぬの。

ルシラー: ……行くわよ、漂泊者君。

ここを出る

このまま進む

漂泊者: 記憶を消すことだってできたはずだ。それなのに、どうしてあえてあんな危険な個体を残しておいたんだ?

ルシラー: ……時折、自分への戒めにするためよ。学園の平穏な日々に溺れて、もし私が過ちを犯してしまったら……その代償がどれほど高くつくか。それを、忘れないようにね。

「心の声」: 忘れるのよ、ルシラー。現実に目を向けなさい……

ルシラーの秘密を尋ねる

記憶の欠片: 私は再び、勇気を振り絞って部屋に入った。時は静かに流れ……学園は今、活気に満ちている。どの時代よりも遠くへ私たちは来た……あなたにも、見せてあげたかったわ。

記憶の欠片: 事故報告書の内容は正確で、決定的なものだった。証拠はすべて、ケーブルの絶縁ぜつえん不良による飛行制御システムの異常を示していたわ。でも……私の知る真実は、もっと単純よ。私が計画を承認した……つまり、彼女を殺したのは、私だった。

このまま進む

メッセージを読む

寮のホールに戻る

記憶の欠片: 長い間、ずっと心に迷いがあった。教師として、学生が無謀な計画を提案してきた時……私はどうすべきだった?でも、彼女が「空」を選んだのなら。少なくとも一度は失敗する権利があるはず……そう、思ってしまったの。

ルシラーの秘密を尋ねる

障害を乗り越える

心の底に秘めた秘密

漂泊者: あれはサンダーミールか?まだ「リンクドスパイン」すら建ってない時期なのか?

ルシラー: 過負荷実験で適格者の資格を失った学生のほとんどは、故郷へ帰ることを選んだわ……でも、一人だけ例外がいた。

ルシラー: 彼女は言ったの。「私がエクソストライダーを失ったんじゃない、エクソストライダーのほうが私を失ったんだ」って。

ルシラー: 彼女は……空を貫くロケットのように、ラハイロイの「空」と「大地」を繋ぐ……そんな革新的な輸送システムを設計した、と言っていたわ。

ルシラー: これは、彼女が有人飛行テストを行なった日の記憶よ。

漂泊者: まさか、あれは流星じゃなくて……?

ルシラー: ええ、宇宙船よ……それも、最高の教え子を乗せたね。

???: こちらアミャ。サンダーミール観測所へ……先生、聞こえますかー!?

ルシラー: ええ。

アミャ(通信中): 今日の天気、最高ですね!さっき、とーっても大きな太陽の精霊を見たんです。後で写真を送りますね!

ルシラー: ええ……素敵ね。

アミャ(通信中): 先生、声が変ですよ?また出資者のお偉いさんたちから、プレッシャーをかけられたんですか?

ルシラー: 違うの。ただ、最近あまり眠れてなくて、少し疲れてるだけよ。

アミャ(通信中): 先生は……私たちのこと、信じてくれますか?

ルシラー: 私は……

アミャ(通信中): 先生、瑝瓏こうりゅうにはこんな古い言葉があるそうですよ。「朝に道を聞かば、夕べに」……なんでしたっけ?あははっ、ド忘れしちゃいました。

ルシラー: ……先生も忘れてしまったわ。

アミャ(通信中): じゃあ、テストが終わったら調べておきますね!

アミャ(通信中): また連絡します、先生。

ルシラー: お願い……漂泊者君。

謎の少女?: 墜落時の状態からして……大気中を漂うヴォイドマターに、外壁を貫通されてしまったみたいですね。でも、これ以上コーティングを厚くすると……うーん。

謎の少女?: さぁ……エクソストライダーを造り出したのは、どんな文明だったんでしょうね。高度な文明だとしたら、鳴式めいしきを抑え込めているんでしょうか?悲鳴さえ、乗り越えられているんでしょうか?

謎の少女?: ですが……星の海へ辿り着くまでに、きっと彼らも墜落を繰り返してきたはずです。

謎の少女?: 行ってください。私たちの目となり……これからも、人類と歩みを共に。

謎の少女?: どうか、これを先生に。人類の歴史からすれば、ほんの小さな一歩に過ぎないかもしれません。それでも……これが、私たちにできるすべてなんです。

漂泊者: ……まずい!

ルシラーに追いつく

漂泊者: ルシラー!

漂泊者: ルシラー、あなたの感情が空間に影響してる、危険だ!

ルシラー: ……ここに留まることこそ、一番危険だわ。もう行く時間ね。

敵を倒す

ルシラーに追いつく

ルシラー: もうすぐ着くわ。

ルシラー: 上に進み続ければ、必ず出口があるはずよ。

漂泊者: ……だからずっと、俺に計画を話そうとしなかったのか。

漂泊者: あなたが適格者たちのために探していた「出口」は……行き止まりだったのか?

ルシラー: あの子たちをネオユニオンに利用させたくなかった。でも、理性的に考えれば考えるほど……あちらの提案を拒めない。

ルシラー: 結局……彼らを死なせるかもしれない計画を提案する資格が、私にあるのかしら?

漂泊者: あの少女があなたをここに閉じ込めた理由……分かった気がする。

ルシラー: ……教えてくれるかしら?

漂泊者: 自分の案で学生たちを危険な目に合わせるんじゃないか、と学園長が恐れているのは……

漂泊者: あの子たちが迷わず頷くことが分かってるからだ。

漂泊者: それは、自分の先生の提案だから……

漂泊者: この世で一番の理解者からの提案だからだ。

ルシラー: ……教え子に一本取られちゃったわ。

ルシラー: また後でね、漂泊者君。

記憶の深部に向かう

人類が、もっと高く飛べるように!

人類が、もっと遠くへ行けるように!

人類が、風雨に打ち勝てるように!

謎の少女?: 先生、あなたの夢は何ですか?

ルシラー: 私の夢……それは、あなたたちの夢が、全部叶うことよ。

謎の少女?: また後でね、先生。

ルシラー: ……行きましょう。今度は、一緒に。

敵を倒す

アミャ(通信中): 先生、聞こえますかー!?

ルシラー: もちろん、よく聞こえてるわよ。

アミャ(通信中): 今日の天気、最高ですね!さっき、とーっても大きな太陽の精霊を見たんです。

ルシラー: ええ、先生も見たわ。本当に……大きかったわね。

アミャ(通信中): 良かった、信じてもらえないかと思いましたよ!

アミャ(通信中): じゃあ、また連絡しますね、先生!

ルシラー: また後で会いましょう!

太陽の精霊をなでる

漂泊者: あの謎の少女も、あなたの学生なのか?

ルシラー: 彼女は学園に関する、私の思い出のすべて……つまり、私の学生一人ひとりよ。

漂泊者: 結局、あなたの計画が何なのか、最後まで教えてもらえなかったな。

ルシラー: 大丈夫よ、もう少しでみんな知ることになるわ。

ルシラー: ふわぁ……*あくび*

漂泊者: 眠いのか?

ルシラー: これは、やる気に満ちたあくびよ、漂泊者君。

審査会に直面する

アールト: 漂泊者、今どこにいる?審査官たちも学生たちも、全員揃ってるぞ。

アールト: ルシラーの計画は確かなんだろうな?とにかく、いざって時のフォローは任せたぞ!

ルシラー: もし、私が……

漂泊者: その時は、一緒に立ち向かおう。

漂泊者: また後で、先生。

講演台に立つ

カメレル: ルシラー学園長。スペーストレック・コレクティブ取締役会、常任事務総長のカメレルです。

カメレル: 私は取締役会の指名を受け、本日は出資者代表として……「スタートーチ学園・ラベル学部適格者の処遇案」に関する、「第2次特別審問会」を行ないます。

カメレル: ルシラー学園長。コレクティブ憲章第12条に基づき、あなたは本会議の出席者、議題、及び草案に対し、異議申し立てや動議を行なう権利を有します。

ルシラー: ……では、今回の審査団メンバーの「国籍構成」についてお伺いします、カメレル事務総長。

カメレル: 今回の審査団は、全部で10名。その全員がネオユニオンの出身です。内訳を申しますと、ネオユニオンの特別代表5名。残る4名の常任取締役のうち、2名は棄権、残り2名は臨時代表権をネオユニオンに委任しています。

カメレル: そして最後の1名は、ブラックショア代表のアールト審査官です。

ルシラー: カメレル事務総長。その人員構成では、憲章が定める「審査会の公平性」に欠けるのではありませんか?

カメレル: 条例に基づき、「取締役から委任を受けた参加者の国籍は、委任者と同じ国籍」と見なされます。したがって、今回の選出に手続き上の不備は一切ございません。

アールト: 失礼、発言してもいいかい?それならブラックショアも当然、現在ラベル学部に在籍中の漂泊者さんを、臨時代表に指名できるわけですね。こちらが委任状です。

カメレル: ……承知しました。どうぞ、漂泊者さん。

ルシラー: 質問は以上です、カメレルさん。

カメレル: それでは、議題に戻ります。前回の審問会後に行なわれた出資者たちの決議を通達します。

カメレル: エクソストライダーを失ったということは、「適格者計画」の事実上の失敗を意味します。目下の最優先事項は、計画に関わる学生及びリソースに対し、事後処理を実行することです。

カメレル: 取締役会の総意に基づき、再度述べます。「適格者計画」はただちに終了、または一時凍結すべきです。

ルシラー: 私の立場は変わりません。「適格者計画」の継続を希望します。

カメレル: その理由を述べてください。

ルシラー: 審査官の皆様。これは、ある適格者の学生が製作した、溯洄雨そかいあめを防ぐためのバリアのプロトタイプです。

ルシラー: このプロトタイプは、今州こんしゅうにおけるバリア開発を大きく後押しして……最終的には「鳴式めいしき無相燹主むそうせんしゅ」との決戦で、無数の命を救いました。

ルシラー: そして……このプロトタイプに使われた材料は、当初、工学部の実験で出た「廃棄物」に過ぎませんでした。

ルシラー: 設計者自身が適格者であり、工学やヴォイドマター、さらには気象学など……幅広い知識を持っていたからこそ、ゴミの山から「可能性」を見つけ出すことができたのです。

カメレル: ルシラー学園長……つまりあなたは、適格者に対する、多角的な能力を培う教育の優位性を論じたいようですね。

カメレル: しかし、そのような教育方針は計画の要項に含まれていません。教育方針の推進と、計画の継続……その二つに因果関係があるとは思えませんが。

カメレル: あのプロトタイプは、確かに素晴らしい成果でしょう。しかし、そのたったひとつの可能性を得るために支払うコストを考えれば、割に合いません。

ルシラー: カメレルさん、そして審査官の皆様。ではお聞きしますが……私たちはどのようにして、「失敗の価値」を計算すればよいのでしょうか?

ルシラー: ご覧の通り、この壊れた機械部品は、コレクティブの公式記録にさえ残っていない「失敗した実験」の残骸です。

ルシラー: ある適格者が自らの理論を証明するために……命を捧げた証。

ルシラー: あれから15ヶ月後……この部品はリンクドスパインの最後のピースとなり、ラハイロイの地上と地下を繋ぐ要となりました。

ルシラー: ――人は必ずしも、「勝利」だけを目指して旅立つわけではありません、カメレルさん。

ルシラー: 私たちの学生は、入学した日から知っていました。エクソストライダーがいつ目覚めるか分からないことも、たとえ目覚めたところでパイロットに選ばれるのは自分ではないだろうということも。

ルシラー: それでも彼らは、ここに来ました。彼らは最初から、「報われないかもしれない道」を進んできたのです。

ルシラー: ですが……その失敗に、価値がないと言えるでしょうか?

ルシラー: エクソストライダーが「アレフ1」を追放し、世界を救ったこと……その結末を「適格者計画の失敗」だなんて……なぜ言えるのでしょうか?

アールト: カメレル審査官。ブラックショアの代表より、発言を求めます。

カメレル: どうぞ。

アールト: 「適格者計画」が生み出した、想定外の「利益」という点において……我々は、ルシラー学園長の見解に同意します。

アールト: 参考までに、ひとつデータを提示しましょう。現在のブラックショア構成員の相当数が、ここスタートーチ学園の出身者です。

アールト: 彼らは皆、極めて高い学習能力、才能、そして意志の強さを示しており……その中でも「適格者」出身のメンバーは、特出しています。

アールト: そして学園内において、適格者のロールモデルがほかの学生に与える影響力については……漂泊者さんから発言を得たいと思います。

漂泊者:

漂泊者: 適格者計画は、文明の活路を切り拓くための計画だ。

漂泊者: かつてエクソストライダーが文明の「第一の活路」だと思われていた時、それに相応しいパイロットとして選ばれたのが適格者だった。

漂泊者: だが、エクソストライダーが去った今……俺たちのために「新たな活路」を見出す者こそ、真の適格者なんだ。

ルシラー: 以上の事実より、適格者計画の「費用対効果」という観点に対し、私は異議を申し立てます。出資者の方々には、当該計画の評価基準について、慎重に再考していただきたいのです。

カメレル: ……協議が必要のようですね。これより5分間の休憩としましょう。

ルシラー: (彼らに学園の可能性を見せるのよ。自分たちの価値を、証明してみせる)

ルシラー: (でも、それだけでは足りない……)

カメレル: ルシラー学園長。審査団で協議した結果、我々は適格者が独立した学科として存続する「潜在的価値」、及び「模範的役割」を認めます。しかし――

カメレル: 先ほど漂泊者さんが仰ったように、「エクソストライダーなき今、新たな活路を見出す重責を担える者」だけが、「適格者」と呼ばれる資格を持つべきでしょう。

カメレル: よって、我々は「妥協案」を提示します。ラベル学部は存続させます。ただし、今後の適格者育成計画は、審査団による「直接指導と審査」を受けること。

カメレル: この辺りで、お互い譲歩じょうほするのはどうでしょうか……ルシラー学園長。

ルシラー: 戦いも、いよいよ大詰めよ……ルシラー。

ルシラー: 深呼吸して心を静め……そして、思い出すの。

ルシラー: これまでの悔しさを。

ルシラー: これまでの喜びを。

ルシラー: 失ったものを。

ルシラー: 見届けたものを。

ルシラー: 追い求めてきた答えと。

ルシラー: 守り抜いてきた宝を!

ルシラー: いいえ、その必要はありません、カメレル事務総長。

ルシラー: こうしている今も、彼ら「適格者」たちは、この世界で最も「文明の活路」に近い場所にいるのです。

ルシラー: アレフ1との戦いを経て、私たちは系外探査機「スターゲイザー」から、この音声記録を入手しました。

カメレル: ただのノイズでは?

ルシラー: はい。ですが……これはソラリスの先駆者たちが残してくれた「希望」そのものでもあります。私たちは、決して孤独ではないのだと。

ルシラー: かつて私たちの祖先が、狭い洞窟の中にいたように。スタートーチ学園が、このラハイロイにあるように。そして、人類がソラリスに存在するように……

ルシラー: 誰かが勇気を振り絞って、壁の外にある「未来」へ向かって……もう一歩を踏み出さなければならないのです。

カメレル: その精神論と適格者たちの間に何の関係があるのか……私には理解できません。

ルシラー: ご覧ください。ラベル学部の研究成果を集約すれば、外因性共鳴による制御を用い、周波数干渉を徹底的に遮断する宇宙船を建造可能です。

ルシラー: そして私たちの適格者には、その翼を操るだけの教育を……充分過ぎるほど施してきました。

カメレル: しかし、「ストライダーゲート」は閉ざされています。ましてや、その向こう側は道ですらありません。

ルシラー: ……文明の活路が、この「下」にしかないなんて、誰が決めたのですか?

理弦(リーシエン): 星空……

レクチャーホールに入る

アールトに別れを告げる

アールト: すぐに迎えが来る、ここでいいよ。

漂泊者: 今回はお疲れ、アールト。

アールト: ふぅ……まったくだ。本当に長い一日だったよ……でも、見事なもんだった。

アールト: 漂泊者、ルシラー学園長に伝えておいてくれ。「学生思いの演説に比べりゃ、審査の結果なんて些細なことだ」……ってな。

アールト: ま、気楽にいこうぜ。きっと上手くいくさ!

アールト: それじゃ、またブラックショアで会おう、漂泊者。

漂泊者: ああ、またな。

ルシラーを探す

緋雪と会話する

緋雪(ひゆき): あやつなら、ここにはおらぬ。会場に残っておるはずだ。

漂泊者: 分かった、行ってみる。

緋雪(ひゆき): ……すまない。

漂泊者: 急にどうした?

緋雪(ひゆき): わらわが力になれておれば、もう少し良い結果になったかもしれぬ……

漂泊者: これは彼女の戦いだ。俺たちに代わりはできない。

緋雪(ひゆき): ……そうか、それでも行ってやるとよい。

漂泊者: ああ。

漂泊者:

ルシラーの所に向かう

……取締役会は依然として、「適格者計画」を極めて高コストかつ高リスクな、継続が難しいプロジェクトであると認識している。我々の貴重な技術人材を本計画に投じ続けることは、将来的にはスペーストレック・コレクティブ……ひいては全人類に対し、取り返しのつかない損失をもたらす懸念がある。

……しかし、我々は同時に認めなければならない。適格者計画は、ひとつの「可能性」を示した。我々が今、切実に求めている……「文明の活路」という可能性を。

以上の内容から、スペーストレック・コレクティブ取締役会は、ここに決定した――我々人類は、再び空へ挑む。