氷原の港

ロイ氷原

氷原の港の画像
『極点への道』抜粋・Ⅰ

エリア探索進捗50%到達で完全版の報告が解放

……
真夜中になってようやく、船はヴォイドストーム測定エリアを抜け、ロイ氷原の近くに辿り着いた。
窓の外を眺めると、海霧の向こうに、まるで山脈のような氷の崖がそびえ立っている。果てしなく続く白い城壁のようで、視界の両側へどこまでも伸びていた。
迫りくる氷の壁に目を奪われ、自分の息が荒くなるのを感じた。かつては極秘レポートの中にしか存在しなかった「ロイ氷原」。そして、諸国が協力して作り上げた「ポーラー・コレクティブ」。ついにその全てを、この目で見る時が来たのだ。
停泊を告げるアナウンスが響き、ウインチがケーブルを巻き上げる低い音と共に、私たちは「ロイ不凍港」に到着した。
厳しい審査をいくつもパスした後、出迎えの調査隊と合流。私たちは港を離れ、氷原の奥地へ向かうエレベーターに乗り込んだ。
このエレベーターはとてつもなく巨大で、一度動くだけで小型キャンプの半年分の物資を運べるほどだという。
しかし、動き出してわずか2分でその感想は一変した――この巨大なエレベーターでさえ、氷壁を登る姿は、まるで蟻が山をよじ登っているかのようだったのだ。
……調査隊の先導で、私は無事に「極地観測基地」へ到着した。
登録手続きを済ませると、隊長に物資倉庫へ呼び出された。そこで、氷原で生き延びるために必要なあらゆる物資を受け取った。
その後、私は一つの部屋を割り当てられた。滞在期間中、ここが私の寝床であり、生活の拠点となる場所だ。
荷物を部屋に置き、基地内を一通り回ってみた。おそらく先駆条約側から話が通っていたのだろう。一部の立入禁止区域を除けば、ほとんどの場所へ自由に立ち入ることができた。
見て回ったところ、「ポーラー・コレクティブ」の第一期工事――つまり私がいるこの輸送港は、すでに完成していた。研究員の話では、現地の「ロイ一族」と彼らが従える「エクソスウォーム」も、建設にかなり協力したらしい。
だが、「第二期工事」の計画について尋ねると、キャンプの人々は口を閉ざした。
大部分の人は、手元の研究や建設任務で忙殺されていた。直接言われたわけではないが、私が詳しく聞き回ろうとすると、彼らの目はこう語っていた――「先駆条約から来た『観光客』の相手をしてる暇なんてない」と。
……私の計算では、最初の3日間で計92台の大型輸送車が到着した。だが、積まれた物資のうち、氷原の他エリアに運ばれたのはごく一部。残りはすべて、列車を通じて地下へ送られていたのだ。
推測するに、「ポーラー・コレクティブ」第二期工事の重点は、この氷原ではなく「地下」にある。「リンクドスパイン」を経由して初めて到達できる、「ラハイロイ地区」に存在するのだ。
……6日目。いつものように基地で目を覚まし、食堂で朝食を済ませた私は、再び隊長のもとを訪れた。ラハイロイへの訪問申請を出すためだ。これで三度目になる。
予想通り、彼女はまたしても私の要請を却下した。
非常に残念ではあるが、理解はできる。
ここでの発見はあまりにも衝撃的で、常識を覆すものだからだ。たとえ先駆条約が私の身元を保証していても、彼らは慎重にならざるを得ないのだろう。
……

『極点への道』抜粋・Ⅱ

エリア探索進捗100%到達で完全版の報告が解放

……
帰航を翌日に控えた午後。隊長が私の元へやって来て、ある場所へ連れて行きたいと言った。
その日、私は最初で最後となる防護服に身を包み、他の隊員と共に科学調査船「アイスブレイカー号」に乗り込んだ。
数十分の揺れに耐えた後、私は込み上げる吐き気をこらえ、ふらつく足取りで船を降りた。
それは、生涯忘れ得ぬ一日となった。白、青、紫が入り混じる建築物の内部。そこには、見たこともない衣装をまとった人々が腰を下ろし、その傍らでは機械仕掛けの白い巨熊がうたた寝をしていたのだ。
驚きを隠せず隊長を見ると、彼女はこう言った。
「ポーラー・コレクティブの建設は極秘裏に進められています。ですから、あなたをラハイロイへ連れて行くことはできません。
ですが、ここの先住民である『ロイ一族』に会わせることはできます。彼らは主に地下で暮らしていますが、氷原にもいくつかキャンプがあるのです」
あの日のことは、細部まで鮮明に覚えている。私たちは午後いっぱいそこで過ごしたが、時間はあまりにも短く感じられた。
言葉は通じず、隊長の通訳を介さなければ会話もままならなかった。それでも、彼らの温かな歓迎の気持ちは十分に伝わってきた。
彼らは自らを、エクソスウォームを導く「牧者」だと紹介した。定期的に地下のエクソスウォームを氷原へ連れ出し、「グローモス」や「グローモサ」といった大型種と合流させ、共にエクソストライダーのもとへ旅をするのだという。
最終的に、それらはすべてエクソストライダーへと回帰する。
「それ」は氷原の果てに眠る巨大な機械であり、すべてのエクソスウォームは「それ」から生まれたと言われているそうだ。
屋内では、野菜を練って焼いた団子や、独特の香りを放つ魚の漬け料理が振る舞われた。
去り際に写真を撮り、その場で現像して手渡すと、彼らはお返しに不思議な巻貝をくれた。
その貝殻には、無数の穴が螺旋を描き、幾何学的に並んでいた。隊長によれば、それは彼らが計算に用いる道具なのだという。
……氷の崖が地平線に消えていくのを見届け、私は窓を閉じた。
波が船底を打ち、「ドーン……ドーン……」という一定のリズムを伝えてくる。私はそれを静かに聴きながら、次第に濃くなる眠気に身を委ねていった。
夢の中で、私は再びロイ一族の人々に出会った。
彼らは窓の外で吹き荒れる風雪に合わせ、私に別れの歌を贈ってくれた――
「旅路へ、旅路へ
静寂の中、安らかな夜に
私は旅路を行く

遠くはない、すぐ足元に
開かれた扉へ向かい
黄昏へ、彼方へ
この世を越え、憂いを下ろし
恐れも迷いもなく
父や母が待ちわび
旧友も一堂に会す
あの懐かしい顔
あの懐かしい顔」